#子連れ会議OK のイベント「子連れ100人カイギ」が、大人も子どもも楽しそうだった

これからの子育て、働き方、家族のかたち。渋谷で考えてみた
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保育園落ちた、子連れ会議NG...。

子育てをめぐるネガティブな話題は尽きないが、もっとポジティブにこれからの子育てや働き方を考えようと、イベント「子連れ100人カイギ」が3月21〜22日、東京・渋谷で開催された。

子どもや大人が一緒に楽しめる、子連れイベントのありかたとは? 当日の様子をレポートする。

子育ての大先輩が渋谷で実践した「自主保育」

祝日の22日には、渋谷区で子育て支援をする団体「渋谷papamamaマルシェ」が「子連れdeワイがやカイギ」を企画。同団体の神薗麻智子さんの進行のもと、子連れ100人カイギ発起人の神田沙織さんと、渋谷区の子育ての大先輩で、小水映(うつる)さんとマクロビオティック料理研究家の中島デコさんのトークと、参加者によるワークショップが開かれた。

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(左から)神田沙織さん、中島デコさん、小水映さん
Megumi Tange

3人の母である小水さんと、5人の母である中島さんが活動したのは自主保育「原宿おひさまの会」。長谷部・渋谷区長もその1期生だという。

小水さんは、同会で活動した背景について「(ママたちの)密室の育児を解放してあげたいと思った」とふり返った。

代々木公園など自然豊かな環境で四季を感じながら自主保育を実践した2人。屋外で遊ぶ場がなくなっていく中で、「どう遊ぶかをみんなで決めた」と語り、考えの違う親たちが集まって議論して、みんなで子どもたちを育てた経験を語った。

現在、代々木公園のすぐ近くにある「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーにする遊び場「はるのおがわプレーパーク」も小水さんの尽力で誕生したという。

会場には、小水さんと中島さんの子どもも参加。ともに現在は子どもの親となったが、それぞれ「よそのお母さんに平気で怒られた。建物のないところで毎日走り回っていた。強く生きてこられました」「寒い日もずっと公園で遊んでいた。お家の中だけで育つよりたくましく育ったかな」などとふり返った。

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当時のエピソードをふり返る、小水さんの長男
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「子連れで◯◯」何したい?

続いてワークショップでは、参加者が「子連れでやってみたいこと」を議論。専業主婦、ワーキングマザー、働く未婚の女性、フリーランスの親、兼業主夫、成人した子供のいる親、高校生などが一緒になってディスカッションした。

会場からは、子連れで「映画」「ライブ」「料理」といった日常の楽しみや、「海外旅行」「農業」「トレッキング」「留学」といった様々なアイデアが生まれ、現状の課題やこれまでの経験をシェアしたり、これからの展望を語り合った。

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Kaori Sasagawa / HUFFPOST JAPAN

参加者からは、「(リモートワークなど)制約のある働き方は、実はとても便利で最先端」「上の世代の意見を聞いて、考えることよりもちょっと小さいことをやってみようと思った」などの感想があがった。未婚の女性からは「子連れでどんどんチャレンジしてほしい。私もチャレンジしたい」などのエールも寄せられた。

また、ワークショップをサポートした高校生からの「あなたにとって子どもとは?」の問いかけに、「世界を広げてくれるもの」「宝物」「未来」など様々な声が集まった。

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「あなたにとって子どもとは?」の問いかけに寄せられた声
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子どもも大人も楽しむために、多くのボランティアも見守り隊として協力。子どもも楽しい時間を過ごす工夫が見られた。

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絵本のコーナーも
Kaori Sasagawa / HUFFPOST JAPAN

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これからの働き方、家族のかたちは?

2日目は、フリーランス協会やシェアリングエコノミー協会のトークが開催され、子育て世代のフリーランスの働き方の実例や、子育て世代を支援するサービスについて参加者と議論した。

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フリーランスで働く子育て世代のディスカッションの様子
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シェアリングエコノミー協会のトークセッション
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夜には、(社)INTO THE FABRICによる「渋谷区100人カイギ × Cift」が開催され、渋谷を中心に活動する人たちのトークや、会場となった渋谷キャストの13階にある「Cift」の取り組みが紹介された。

「Cift」では、45人のクリエイターたちが共同生活し、「ともに働き、ともに暮らす」拡張家族という取り組みをしている。登壇したのは、Ciftのメンバーで、子連れ100人カイギの発起人の神田沙織さん、シェアリングエコノミー伝道師として活動する石山アンジュさん、鍼灸師のくどうまさきさんの3人。

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夫と起業し、1歳児のママとして働く神田さんは現在、Ciftと大崎の2拠点で暮らしている。夫の出張があったり帰りが遅かったりするときはCiftで生活し、メンバーと共に家事や育児をシェアしているという。

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神田さんと1歳の息子さんが一緒に登壇
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くどうさんは、24歳の「独身パパ」として、Ciftメンバーの子どもたちの子育て経験を披露。抱っこ紐での移動やオムツ替え、寝かしつけも担当したりするという。電車で(子どもが)泣くと視線をすごく感じるなど、「子どもを通じて学んでいる」などと語った。

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Kaori Sasagawa / HUFFPOST JAPAN

約70人の参加者のうち、2世帯で暮らす人は2人。ほとんどが独身か共働き夫婦で、いわゆる「単身・核家族世帯」だった。

石山さんは、「これだけ人口が密集している都市の中で頼れる人がいない。つながりが希薄化した都会の中で『なんとなく孤独、なんとなく不安』を抱えている人は多いのでは」と指摘。Ciftで暮らすことで「精神的、心理的安全が得られた」と語った。

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子連れ100人カイギを企画した神田さんは、「ワイがやカイギ」では「圧倒的に未来のビションが語られた」とふり返った。

今後について「新しい21世紀の子育てについて、主役である子どもと、サポータである大人や親と一緒に考えていきたい。子連れの人たちは、想像以上にクリエイティブで、みんなで何でもできるんじゃないかなと感じました」と抱負を語った。

(写真:丹下恵美