スペインの全国管区裁判所は2月10日、チベット族の大量虐殺に関与した疑いで、中国の元最高幹部、江沢民元国家主席ら5人を国際手配するように国際刑事警察機構(ICPO)に要請した。MSN産経ニュースでは、以下のように報じている。
スペインは人道に対する罪に関し、国外の事件でもスペインの裁判所に管轄権があると規定。スペイン国籍の亡命チベット人を含む支援団体が5人を告発し、1980~90年代の民族抹殺に関与した疑いが強いとして、逮捕状が出ていた。
(MSN産経ニュース「江沢民氏ら国際手配要請 スペイン裁判所、チベット族虐殺容疑で」2014/02/12 00:42)
他に国際手配を要請された4人は、李鵬元首相、喬石・元全国人民代表大会常務委員長(国会議長)、陳奎元・元チベット自治区共産党書記、彭珮雲・元国家計画出産委員会主任。今回の動きに中国政府は強く反発した。NHKニュースが次のように伝えている。
中国外務省の華春瑩報道官は11日の定例記者会見で、スペイン側に抗議する考えを示したうえで、「中国は、スペインの関係機関が中国の厳正な立場をかえりみず、誤ったやり方をとったことに、強烈な不満と断固たる反対を表明する」と述べ、強く非難しました。
(NHKニュース「スペインの裁判所 江沢民氏らの国際手配要請」2014/02/11 22:56)
国家主席などを経験したかつての最高幹部らが拘束されるとすれば大事件となるのは確実だが、実際に江沢民氏らが拘束される可能性は低いようだ。MSN産経ニュースは、こう書いている。
ICPOが国際手配すれば、中国を含む加盟国は容疑者引き渡しのため、身柄拘束への協力を求められる。ただ、強制力はないため、実際に拘束される可能性は低いとみられている。
(MSN産経ニュース「江沢民氏ら国際手配要請 スペイン裁判所、チベット族虐殺容疑で」2014/02/12 00:42)
江沢民氏は1926年生まれ。鄧小平が最高権力者だった時代に党内での地位を固めて、上海市長や共産党幹部として頭角を現した。89年に総書記に就任し、翌90年に国家中央軍事委員会主席を兼任。93年には国家主席も兼任することで、2002年まで中国の全権を掌握していた。コトバンクでは以下のように解説している。
江沢民は05年までには公式な地位を胡錦濤に譲り渡し、権力中枢は胡錦濤の更に次の世代に移行している。しかし、江沢民は健康不安を伝えられながらも、いまだに隠然たる影響力を保っているといわれる。
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