ことでん、ウクライナカラーに。「命がけで働く鉄道員の皆さんを応援したい」

育休中にウクライナのニュースを見て胸が締め付けられるような思いをしていたところ、ホームに入ってきた電車を見てひらめいたと企画担当者は話します。
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ウクライナ国旗と同じ配色にラッピングした琴平線の車両(ことでん公式Twitterより)
ことでん提供

香川県の私鉄「高松琴平電気鉄道」(ことでん)で、ウクライナの国旗に合わせたラッピングの車両の運行が、4月19日から始まった。ことでん公式Twitterで発表された。ことでんの担当者は、ハフポスト日本版の取材に「人々のために命がけで働いているウクライナの鉄道事業者の皆さんを少しでも応援できたら」と話している。

 

■専用ステッカーをオンライン販売。収益全額をウクライナに寄付へ

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ウクライナ国旗と同じ配色にラッピングした琴平線の車両(ことでん公式Twitterより)
ことでん提供

ロシア軍のウクライナ侵攻が始まって1カ月半近くたつが、国営ウクライナ鉄道は激戦地の東部、南部を除いて列車の運行を続けている。殉職する鉄道員が相次ぐ中、ポーランドやスロバキアの国境付近まで、約370万人もの避難民を運ぶ。折り返しの列車では、食料品など援助物資を国内各地に届けている。ウクライナの鉄道員の命がけの働きを応援するために、「ことでん」はウクライナ国旗の列車を走らせることになったという。

今回、ウクライナカラーになるのは、20編成ある琴平線の車両のうち1編成(2両)。琴平線はもともと、白地に黄色のラインカラーだが、ウクライナ国旗に合わせて上部の白い部分を青にラッピングしたという。

車体上部には「あなた方と共にあります。ー 人々の命を守るために働くウクライナの鉄道従事者へ ー 世界平和を願っています」という意味の英文メッセージが入っている。

ラッピング電車は11月中旬まで運行。期間中は高松築港駅、片原町駅、瓦町駅、仏生山駅の改札口付近に募金箱を設置する。また、ことでんオンラインショップでは、今回のラッピング電車をかたどったステッカー(税込500円)を販売する。このステッカーは瓦町駅で5月3日に開かれる「ことでん GW フェスタ 2022」でも販売予定だ。

募金とステッカー売上金は全額。在日ウクライナ大使館に寄付するという。

■育休中に駅で見かけた電車がきっかけだった

今回のラッピング列車を発案したのは、「ことでん」地域開発本部の今井恭子さん。ウクライナ侵攻が起きたときは、育休中だった。子どもを育てながら、ロシア軍の激しい攻撃を受けるウクライナのニュースを日々、見ていた。「胸が締めつけられる思いだった」とハフポスト日本版の取材に振り返った。

今井さんが3月中旬、子どもを連れて駅で電車を待っていたところ、白地に黄色のラインカラーをした琴平線の車両がホームに入ってきた。

「この車両の上部を、ことちゃんの青にラッピングすれば、ウクライナ国旗に同じ配色になる」と、ひらめいたのはその時だった。ことでんのイメージキャラクターである「ことちゃん」は青い色をしていたからだ。早速、上司に提案したところ社内会議でゴーサインが出た。今井さんの育休復帰後、4月18日から運行が始まった。

公式Twitterで19日現在、3万件の「いいね」が集まるなど反響が広がっていることについては以下のように話した。

「共感してくださる人が多くて、大変ありがたく思っています。鉄道を通じて、たくさんの人命を預かっていると意味では、ことでんも同じ。命がけで働くウクライナ鉄道の皆さんに敬意を表したいと思っています」