韓国の原発で、偽造された部品が使われていることがわかったというニュースが報じられている。ロイターは、見つかった不良品の状況について下記のように報じている。
同国で稼働中や建設中などの原発計6基の安全装置に、性能確認試験の結果を示す書類が偽造された部品が使われ、一部は緊急時に十分機能しない不良品であることを確認したと発表した。
(共同通信「韓国原発2基停止へ 書類偽造、電力難も」 2013/05/29 00:53)
偽造されていたのは制御ケーブルで、安全性などの検査をした業者の職員が偽造したと、中央日報が報じている。この原発によって韓国の電力需要がどのような影響を受けるかについて、朝日新聞デジタルは下記のように書いている。
韓国政府は、部品の交換や安全確認には4~6カ月かかるとみている。韓国には23基の原発があるが、問題の3基が需要の多い夏場に稼働できなければ電力不足に陥るのは必至だ。産業通商資源省は「6月から非常状況になり、8月にはかなり深刻化する」としており、31日に節電などを含めた総合的な対策を発表する予定だ。
(朝日新聞デジタル「部品データ偽造、原発2基停止へ 韓国」より。2013年5月29日)
韓国での原発の部品偽造は過去にも発生している。SankeiBizは1月の記事で、総発電能力の約3割を原子力で賄っていると伝え、さらに2011年の品質証明書の偽造についても報じていた。聯合ニュースによると、この部品偽造問題による原発稼働停止で、韓国の企業は輪番休業などの緊急節電対策をとることになったという。
韓国は日本に比べて電気料金が安い。この理由として、韓国の電気料金水準が政策的に低く抑制されているためと、資源エネルギー庁がレポートしている。この電気料金の安さや、法人税実効税率の良さ、東日本大震災以降の電力の安定供給などを求めて、韓国に工場を移転したり新設したりする企業があった。
東レもその一つで、4月3日に、韓国の慶尚北道・亀尾市で、炭素繊維新工場の竣工式を執り行った。東レの日覚昭広社長が語った話として、「韓国への投資は、安定した販売先と電力インフラ、技術人材の三拍子を備えている」と中央日報は報じている。また、アドバンテストも、天安市に建設していた新工場が完成し、操業を開始したとプレスリリースを出している。
また、朝日新聞デジタルは、「サムスン村」と呼ばれる韓国の京畿道平沢市に立ち並ぶIT関連工場の一体に進出する日本企業のひとつ、日本の「財界総理」とよばれる経団連会長(米倉弘昌氏)を出している住友化学の話として、下記のように報じている。
「サムスンの近くにいないと、スピード感をもって対応できない」と東友の橋本清保副社長。サムスンの工場や研究所に足しげく通い、試作品をもちこむ。「もっとあざやかな色を」。注文を持ち帰り、改良を重ねる。
(朝日新聞デジタル 「(限界にっぽん)サムスン村へ、海渡る企業」より。2013/5/6)
しかし、電力需要の逼迫や、韓国の電力会社である韓国電力の収益悪化などの影響から、今年1月に、韓国は電気料金を平均4.9%値上げした。産業用電力だけを見ると、6%の値上げとなる。ウォン高の影響も受けて、輸出中心となる韓国企業には、影響がないわけがないだろう。
一方、横河電機が、韓国の麗水火力発電所向け統合制御システムを受注するなどのニュースもある。これらの日本企業が、この原発停止の影響をどれぐらい受けるのか。隣国の今後のエネルギー事情も気になるところだ。