韓国で野党勢力の政界再編が実現する見通しだ。
最大野党、民主党の金ハンギル代表と、2012年の大統領選挙に一時出馬を表明した安哲秀(アン・チョルス)氏の「新政治連合」が統合に合意した。ベンチャー企業家出身で無党派層に人気がある安氏を、既存野党が取り込んだ形だ。与党への攻め手を欠いて低迷する野党側が勢いを取り戻すかが今後の焦点となる。
ハフィントンポスト韓国版は以下のように伝えた。
韓国の最大野党、民主党の金ハンギル代表と、新政治連合の安哲秀・中央運営委員長は3月2日午前10時に国会で共同記者を開き、"2017年、政権交代を実現するために、新しい政治のために新党結成を推進する"と明らかにした。
これによって、これまで与党・セヌリ党、野党・民主党、新政治連合の3党の対決構図だった6月4日の統一地方選は、セヌリ党と統合新党の2党構図で行われる可能性が高まった。
(中略)
金代表と安委員長は同日の記者会見で「韓国政治の慢性的な弊害を打破するために、政治改革を持続的に推進する」と統合新党の背景を説明した。
2人は、現政府とセヌリ党について「政府と与党は、2012年大統領選挙の際の嘘に反省と謝罪をせず、傲慢と独善に満ちており、地方選挙を控えて再び国民をだましている」と批判して「政治が選挙勝利のための空約束の上に建てられた場合、今後、国民との何の約束も不可能になる。国民は政治と政党の約束を真に受けられなくなる」と話した。
(ハフィントンポスト韓国版「金ハンギル・安哲秀、統合新党設立を電撃宣言」より 2014/03/02 10:58)
安氏は医学博士やベンチャー起業家、大学教授など様々な経歴を持ち、主に無党派層の間で人気が高い。一方で政治的な手腕は未知数とされてきた。
現在動向が注目されているのが、実業家でソウル大学教授という肩書きを持つ安哲秀(アン・チョルス)氏である。元々は医師でありながら、コンピューターウイルスの研究を行い、コンピューターセキュリティ企業を起こし成功させるなど、華麗な経歴を持つ。企業家としてのリーダーシップが「国のリーダーとしても相応しい」と支持を集めているが、安氏の政治経歴は皆無に等しく、手腕も未知数である。
(朝日新聞社(WEBRONZA)「韓国大統領選、女性党首率いる与野党の激突」より 2012/04/27)
安氏は2012年12月の大統領選に無所属で立候補を表明し、初めて政界への挑戦を表明したが、最大野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏と候補を一本化することで合意し、直前に立候補を辞退していた。2013年4月の国会議員補選で初当選して政界に進出。その後は第三極の新党を模索していたが、最大野党との統合に電撃的に踏み切った。
一方で朴槿恵大統領を擁する与党・セヌリ党は激しく反発した。
セヌリ党は2日、統合宣言を「野合」と規定し、激しく非難した。ユン・サンヒョン院内首席副代表は「金ハンギル民主党代表は、安哲秀氏という包装紙1枚の値段で第1巨大野党を売り払い、安哲秀議員は大統領候補になるために出産中の新党を放棄した」と批判した。「二人の密室取引で、野党内では新たな政治や民主主義という言葉を口にすることもできなくなった。新政治という名前で国民を愚弄したことについて有権者が冷静に判断するだろう」とも話した。
(中央日報「セヌリ「旧態依然の政治と野合」」より 2014/03/03 01:31)
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