朴槿恵大統領の政策に知人女性が介入していた「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」は、韓国経済を支える財閥にも大きな影を落としている。
グループ内の不正経理疑惑などを巡って揺れていた有力財閥のロッテの会長に、朴大統領が単独で面会し、崔順実氏の息のかかった財団に寄付を要請していた可能性が浮上している。
ハンギョレが検察関係者の話として報じた。当時、ロッテは水面下で検察が捜査を始めており、ハンギョレは「検察が内偵中の財閥のトップに、大統領が単独で会って寄付を要請した事実が確認されれば、贈収賄に関わる容疑で捜査対象になる可能性もある」と指摘している。
ハンギョレが報じた事実関係はこうだ。
・2016年2月末~3月初め 朴槿恵大統領と辛東彬(日本名・重光昭夫)韓国ロッテグループ会長が面会
・3月中旬 朴大統領、安鍾範・大統領府政策調整首席補佐官(逮捕)から「ミル財団」「Kスポーツ財団」への追加出資状況がどうなっているのか報告を受ける
・5月 ロッテ、「Kスポーツ財団」に70億ウォン(約6億4000万円)を追加で寄付
・6月10日 検察がロッテグループへの家宅捜索を開始。この直前にロッテは追加寄付を取り下げ
一方、ロッテは「会長がその時期に大統領と面会した事実はない」と否定している。
■サムスンも捜査
また、検察は8日、サムスン電子などサムスングループの9カ所を家宅捜索した。サムスンはドイツにいる崔順実氏の娘、チョン・ユラ氏の乗馬訓練費用などの名目で280万ユーロ(約3億2300万円)を送金しており、その背景などについて捜査しているとみられる。
■「財団法人ミル」「Kスポーツ財団」とは?
「財団法人ミル」は、韓国の伝統文化の海外普及を目指して2015年10月に、「Kスポーツ財団」はテコンドーなどのスポーツを海外に宣伝する目的で2016年1月に設立された。大統領の肝いりで推進される事業で、大手財閥から、両財団に合計で約774億ウォン(約69億円)近い金額が寄付された。
しかし「Kスポーツ財団」の理事長に崔順実氏の行きつけのマッサージ店主が就任するなど、崔氏に近い人物が両財団の理事や職員に多数就任していたことが判明。崔氏は、自分の会社を通じて財団から業務委託を得ようとした詐欺未遂の疑いも持たれている。