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あなたは、がんになりやすい? あの世界的女優も受けた遺伝子検査。保険適用で治療はどう変わる?

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日本人の2人に1人がかかると言われる「がん」。長年にわたり日本人男女の死亡原因1位を占めている(*1)が、早期発見・早期治療によって治るケースも増えてきている。

では、あなたは、早期発見の鍵となる「がん検診」を受けているだろうか。ハフポスト日本版がTwitterアンケートで尋ねてみたところ、一番多かったのが「(がん検診を)受けたことはないが、今後受けてみたい」という回答(40%)だった。

「がんは治るの? 原因は?」

まずは、そんな疑問にがん研究会有明病院センター副院長・乳腺センター長の大野真司医師が答え、後半では、がん治療で注目度が高まる「遺伝子検査」と「個別化医療」について、コニカミノルタ専務執行役の藤井清孝氏と大野医師が語り合った。

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左から、がん研究会有明病院センター副院長・乳腺センター長の大野真司(おおの・しんじ)医師と、コニカミノルタ株式会社の専務執行役・ヘルスケア事業本部長の藤井清孝(ふじい・きよたか)氏
Masanori Sugiura

◼️誰もがなり得る「がん」。生存率は?

―― 日本人は2人に1人の確率でがんになる、といわれています。がんがここまで身近な病気になった背景には何があるのでしょう。

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「誰しもいつかはがんになり得る」と語る大野医師
Masanori Sugiura

大野医師(以下、大野):「がんが増えた原因は、食事などライフスタイルが欧米化したから」とよくいわれますが、「平均寿命が延びたから」ということもあります。生きていれば、誰しもいつかはがんになり得るんです。

一方で、がん全体で見ると、生存率はどんどん上昇しています。国立がん研究センターが調査した「全がんの3年実測生存率」は67.5%。これは2回目、3回目に再発したがん患者もすべて含めての数字ですから、初めてがんにかかった人に絞ると生存率はさらに上がるでしょう。

◼️乳がんは早期発見で約90%治るけど……

―― がんになっても治る確率が上がってきているのですね。 

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乳がんの状況について語る大野医師
Masanori Sugiura

大野:日本女性の罹患数1位で、私の専門でもある「乳がん」を例にとりましょう。欧米では1980年代と現在を比較すると、死亡率が約30%も下がっています。検診による早期発見と、薬物療法による再発抑制のおかげです。日本でも、早期発見・治療ができれば、約90%の方が治るという数字が出ています。

しかし、国内のがん検診の受診率は4割程度といわれていて、欧米諸国の7~9割という数字と比べると、まだまだ低い状況です。

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男女別がん検診受診率(40-69歳)の推移(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)

 ◼️有名女優の乳房切除がもたらした衝撃

―― 2013年に世界を代表する女優が、乳がん予防のために両乳房を切除したニュースが議論を巻き起こしました。

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乳房切除という選択について語る大野医師
Masanori Sugiura

大野:彼女の選択が世界を変えたことは間違いありません。母や叔母などの親族をがんで亡くした彼女は、遺伝子検査を受け、自身が将来87%の確率で乳がんに、50%の確率で卵巣がんになると診断されました。

その事実を受け止めた上で、彼女は予防的リスク低減手術を受けた。私個人としては、リスクを鑑みた当然の決断だろうと思いますが、もちろん、誰もがそうすべきだという話ではありません。リスクと利益を秤にかけた上で、最後は本人の意志に委ねる問題であると考えています。

◼️遺伝子検査で変わるがん治療

―― 遺伝子検査によって、がん治療はどう発展していくでしょうか。コニカミノルタは、遺伝子検査で知られる米国の「アンブリー・ジェネティクス社(以下、アンブリー社)」を2017年に買収しています。

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アンブリー社の買収意図について語る藤井氏
Masanori Sugiura

藤井氏(以下、藤井):遺伝子検査の発展によって、個人に適した医療を組み合わせ、自ら治療方法を選択できる時代が来るだろうと思っています。

アンブリー社は遺伝子検査をリードしてきた会社で、大規模な遺伝子データ解析結果を持っています。一方、コニカミノルタは、フィルムやカメラから発展した会社ですが、技術を駆使し、人間にとって大切な「みたい」という思いに応え、さまざまな「見える化」を実現させてきた会社です。その一つとして、実は遺伝子解析に重要なタンパク質の解析技術を持っているんです。まさに「診たい」を叶える技術です。

このタンパク質解析によって、遺伝子レベルでその人の特徴がわかるんです。アンブリー社の持つ遺伝子検査結果のデータと、当社のタンパク質検出技術を組み合わせることで、それぞれの遺伝子の特徴に応じた「個別化医療」が可能になります。

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「個別化医療」について話し合う大野医師と藤井氏
Masanori Sugiura

大野:そもそも検診自体、本来はその人が持っているがんリスクに応じて実施したほうが効率的ですよね。例えば、乳がんリスクが高い人は、はじめからマンモグラフィよりMRI検査を受けてもらった方がいい。今後は「個別化検診」の流れに向かっていくだろうと考えています。

がんの治療薬は非常に高額です。遺伝子検査によって、その人に合う治療方法や薬を特定することは、医療費、すなわち税金の削減にもつながります。

◼️遺伝子検査が保険適用の時代に?

―― ハフポストで遺伝子検査についてアンケートを実施したところ、「ぜひ受けてみたい/受けたことがある」が33%、「機会があれば受けてもよい」が42%に。7割以上の回答者が、遺伝子検査に前向きであるという結果になりました。

大野:臨床の現場でも、遺伝子検査への抵抗はだいぶ薄れてきているように感じます。日本でもがんの再発治療をしている施設の多くは、遺伝子検査ができるようになっています。

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米国の遺伝子治療と保険について解説する藤井氏
Masanori Sugiura

藤井: がん治療における個別化医療では、本人の既往歴と家族歴によって、その人自身のがんのなりやすさの度合いを示す「リスクスコア」が割り出されます。アメリカでは、リスクスコアが高い人に対して、保険で遺伝学的検査を受けることができ、結果に応じてその後の検診も保険でカバーされる仕組みがすでにあるんです。

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今後の遺伝子検査について語る大野医師
Masanori Sugiura

 大野:日本において、乳がんの場合は、2018年7月までは遺伝子検査は自費のみでした。

ですが、新薬の承認によって一部保険適用になり、さらに2020年4月以降、乳がんに関しては公的な医療保険で遺伝子検査ができるようになる、といわれています。自分のがんが遺伝性のものだとわかった場合は、遺伝子に適した治療法を選べるようになり、治療成績も上がるはずです。

◼️あなたの情報があなたを守る

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がん治療の未来について語る大野医師と藤井氏
Masanori Sugiura

藤井:大野先生のお話にもありましたが、乳がんは、早期発見であれば、ほぼ治る病気になっています。現在では、マンモグラフィや超音波を使った画像診断が定着していますが、早期診断の有効な技術のひとつが遺伝子検査(遺伝学的検査)だと考えています。

遺伝子解析技術の進歩によって、これまではわからなかった因果関係が今、どんどん見えてきています。遺伝子検査によって、一人ひとりの遺伝子情報にもとづいた「個別化医療」が今後さらに進んでいくはずです。

遺伝子を含め、正しい知識を提供することで、早期発見・早期治療や予防につながります。「あなたの情報があなたを守る」。コニカミノルタは、がんの早期診断を促進し、がん予防、がんとの共生、がんと仕事の両立ができる社会づくりを目指します。

(取材・執筆:阿部花恵 撮影:杉浦正範 編集:磯村かおり)

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