新型コロナウイルスの感染を予防するため、衆議院では4月2日、参議院では3日から本会議場に入る議員はマスクを着用し、手の消毒を行う対策がとられた。しかし、両院とも数百人の議員が密集して座ることに変更はなかった。こうした現状について、一部の国会議員からも異論が上がっている。
■衆院本会議は「クラスター(感染者集団)の発生源になりうる」
無所属の衆院議員、寺田学氏は4月3日の衆院本会議を「社会的距離(ソーシャルディスタンス)を確保できていない」という理由から欠席した。本会議場は500人近い議員が密集して着席することから、もし自分が新型コロナウイルスに感染していた場合、他の議員に感染拡大のリスクがあることを考えた結果だという。
寺田氏はハフポスト日本版の取材に対して「国としての緊急課題は、コロナ対策です。それに必要な立法以外はいまは注力する必要はないと思います。関係ない委員会が開いているせいで、政治のリソースも、霞ヶ関のリソースも、分散しています。その上、こんなクラスター(感染者集団)の発生源になりうる本会議を開くのも、全く理解できません」と訴えた。
■参院本会議、席を空けて座るプランが頓挫
一方、参院本会議では、新型コロナの感染対策として、席を空けて座るようにするプランの検討が与野党で進められていたのに、4月3日までに頓挫したことが分かった。
ある自民党参院議員はハフポスト日本版の取材に対して、以下のように打ち明けた。
「参議院は旧貴族院と同じ議場を使っているため、本会議場の議席は大量に余っています。そのため、新型コロナ対策で3密を避けるために1階席をフルに使い、さらに2階の傍聴席まで活用することで、席と席の間に空席を入れて、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を稼いで4月3日から本会議を開催する方向で与野党で検討を進めていましたが、頓挫しました」
頓挫した理由について、この議員は2つ挙げた。
「1つは参院独自の投票用の押しボタンが普段使っている席にしかないため『押しボタンが使えなくなって、投票行動が記録に残る参院の独自性がなくなる』と一部の野党が反発したことです。もう1つは、衆院の議席は空席が少ないため『参院本会議場だけ席を空けると、衆院本会議場の席がぎっしりなのが目立つ』と衆院の自民党が反対したことが理由でした。衆院こそ新型コロナ対策すべきなのに、それをせず、逆に対策しようとした参院に待ったをかけるとは、本末転倒です」