東京都議選、小平市で住民が候補予定者に都市計画についてアンケート【都議選動向】

明日23日に投開票が行われる東京都議会議員選挙に対し、「都市計画」という視点から、住民目線で立候補者を比較している団体がある…
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明日23日に投開票が行われる東京都議会議員選挙に対し、「都市計画」という視点から、住民目線で立候補者を比較している団体がある。「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」である。

小平市は5月26日に、50年前に決まった都道建設計画のうち小平市内を通る約1.4キロの区間について、「住民参加により見直す」か「見直しは必要ない」のいずれかを選ぶ住民投票を行った。5万1010人が投票したが、投票率が35.17%となり、開票の条件となる50%に満たなかったとして、市は開票を行わなかった。小平市民の3人に1人はこの問題に関心を寄せ、自らの意思を表明したことになるにも関わらず、条例が失効する8月末に投票用紙は廃棄されるという。

「5万人もの声を、見もせずに廃棄するのか。」

"都"の道路の建設計画ということもあり、「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」では10日、今回の都議選で小平市選挙区(定数2)に立候補する予定の4人に対し、住民投票などの考えを問う公開アンケートを実施。質問をファクスとメールで送付した。

アンケートは全部で4問。(1)小平市の住民投票の投票結果が開票されないことをどう思うか、(2)投票用紙が90日で破棄されることについてどう思うか、(3)市民が都市計画に参加するために必要なことは何だと考えるか、(4)計画決定後、一定期間が経過した都市計画道路について時効を設けるというサンセット方式についてどう思うか、というもの。

立候補予定者からの回答内容は、ホームページでも回答順に掲載されている。

(1)小平市の住民投票の投票結果が開票されないことをどう思うかとの質問に対しては、「投票率の高低に関わらず開票するべき」と回答したのは1名(共産党)であったのに対し、「開票すべきでない」としたのは3人だった(維新、民主、自民)。

開票すべきでないとする理由としては、開票したい気持ちはやまやまだが、「50%以下の場合、不成立・開票せず」でルールを決めて住民投票を実施しているためとの意見だった(維新・民主)。

(2)投票用紙が90日で破棄されることについてどう思うか、という質問に対しても、(1)と同様に、議会による決定を尊重すべきと回答が3件あった。

共産党のかたからは、「住民の意思が十分尊重される議会に変えていくことが大事」との回答があった。

(3)市民が都市計画に参加するために必要なことは何だと考えるか、という質問については、自民党のかたからは、下記のような回答がされた。

道路づくり、まちづくりなどの都市計画の決定については長い年月がかかり段階的に手続が決定されるので、それぞれの段階での意見の集約が行われるので、それに参加し市民の声を反映させること

一方、共産党の立候補予定者からは、

形骸化した審議会や聞きおくだけの「意見を聞く会」、懇談会などを抜本的に改善し、計画策定の段階から市民の意見が反映される仕組みを作る。また、計画を実施する段階においても、市民の要求に応じて、計画変更が可能な仕組みをつくることが重要です。計画段階だけではとらえられない問題点が実行段階に出てくることが考えられるからです。

と、計画の実施に関しても、住民参加できるような仕組みが必要との考えが回答された。

維新の立候補予定者は、「今回の住民投票は、行政・議員の怠慢によって起こったもの」とし、住民の代表者である議員が常に住民との対話を通し住民の意見を政治へと活かすことが必要と指摘。また、住民に対しても、当事者意識を高める必要があると言及した。

市民の当事者意識を高めることも大切です。市民参加のしくみをつくっても、ごく一部の人だけが参加し、それが「市民全体の意見」とされる場合も多く、それでは本来の市民参加の趣旨とはかけ離れたものになります。

民主党の立候補予定者は、都市計画道路の都事業においては、都市整備局が担当する東京都都市計画審議会が(市では小平市都市計画審議会)市民の意見反映の場となるとの具体的な担当部署を上げている。この市民団体と、都市計画を担当する都庁の部署との仲介を行った例も上げ、これらの仲介は望むところだという回答がされている。

どの政策がどこで話し合われているのかという情報を提供することも議員の役割であろう。

なお、審議会で話し合われた内容は、都議会内の関連の委員会などで付議され、その後、都議会本会議で決定されるようなしくみになっているので、東京都都市計画審議会で審議された内容は、東京都議会の「都市整備委員会」で議論される。

この都議会における都市整備委員会は、現在定数が14人となっており、東京都議会の議員数127人のわずか1割程度であるため、全ての市区の代表が、委員会に属するわけではないが、2013年6月に行われた東京都本会議時点では、小平市選出議員の自民党の議員が1人、都市整備委員会に属していたという状態であった。

自分の選挙区から選出された議員が、都の関係部署との仲介を行なってくれることは頼もしいが、その方が必ずしも委員会に属するわけではないことから、同じ意識を持つ他選挙区の住民とも連携を意識するとことも、今後必要になってくるのかもしれない。ネット選挙が解禁されると、これまで以上に、他選挙区の住民に対して、選挙活動を行うということも行われるようになるのではないだろうか。

(4)計画決定後、一定期間が経過した都市計画道路について時効を設けるというサンセット方式についてどう思うか、という質問に対しては、賛成するという回答が1件(共産)、この方式は馴染まないとする回答が1件(自民)あった。その他、検討の余地ありという回答(維新)や、課題が残るという回答(民主)もあった。

賛成という回答については、「時のアセス」という言葉を使いながら、長期に渡って計画の進行が停滞している事業について、事業の合理性、事業期間の期限的有効性の観点から見直すことが、特に都市計画については必要なのではないかと、書かれていた。

また、馴染まないとする回答については、「都市計画決定は長期間にわたり手続を経て正式に決定されたもので重く受け止めるべき。」と、決定までに既に長い時間をかけているという理由からのものであった。

課題が残るという回答のなかでは、「計画線上の住居者に対してかけた制限について計画の廃棄、変更の際にどの程度の賠償をするのか、ということを決める必要がある」と指摘し、「一定期間」という期限をどのように設定するかを問題としていた。

明日の都議会議員選挙では、20時まで投票が受け付けられている。インターネットからも、選挙公報が閲覧できる。是非、自分の一票を投じてほしい。

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