はなこは思った。
「わたしはもしかして、イーサン・ハントなのではないか?」
イーサン・ハントとはもちろん、アメリカの大人気映画『ミッション・インポッシブル』*1の主人公のことである。
何を馬鹿げたことをと人は言うが、わたしにとってはそれがあまりにも自然な結論なのだ。
様々な苦難を乗り越え、不可能を可能に変えてきたイーサン・ハントの姿は、そっくりそのままわたしの姿と重なってしまう。
そう、お腹の贅肉以外はね。
わたしが娘を出産したのがおよそ2年半前。
それからというもの、わたしに降りかかる全てはまさにミッション・インポッシブルだった。
本日はそんなわたしの2年半を振り返りながら、わたしがいかにイーサン・ハントであるかを皆さんに証明していきたいと思うので、暇で暇でしょうがないという人だけぜひ読んでみてほしい。
ミッションはいつも突然やってくる。
当局からの指令が入った謎のテープを手にした瞬間、わたしの意思にかかわらず、その指令を必ずこなさなければならないことになっている。
また、指令の最後には必ず以下のようなメッセージが添えられる。
「母親に肉体的及び精神的な負担がいくらかかろうとも、夫は一切関知しない。」
これが通称KMIと呼ばれる『カーチャン・ミッション・インポッシブル』なのである。
■カーチャン・ミッション・インポッシブル
指令1
縦抱きスクワットでしか寝れない0歳赤子を2時間ほどかけて寝かしつけたあと忍び足で部屋を移り冷蔵庫の中のノンアルビールのプルタブをプシュと開けた瞬間「ほぎゃあ」と聞こえたのを幻聴だと誤魔化さずまた2時間ほどかけて寝かしつけろ。
イーサン「膝がもう限界」
当局「健闘を祈る」
指令2
買い物する機会あんまないからまとめ買いしておこうという考えが完全に裏目に出て荷物が両手いっぱいになってしまいなおかつ「抱っこ」とせがむ娘に「今は無理だ」と懇願するも叫びながら道端で寝転がってしまい白目を剥いて立ち尽くしたい気持ちをこらえて両手いっぱいの荷物と娘を担いで家まで帰れ。
イーサン「何回数えても手が2本しかないんだ」
当局「健闘を祈る」
指令3
ドロドロに疲れているときに「ママなんだからしっかりしなきゃ☆」と謎のエールを送ってくる輩に舌打ちなどせずどうだこれが母性じゃと誇れるくらいの微笑みでその場をやり過ごせ。
イーサン「この人何言ってんd...」
当局「たぶん親切のつもり」
指令4
「ほうれん草食べないとイチゴも食べれないよ」と好物で釣るもなかなか応じない娘の好き嫌いをなくせ。
娘「イチゴちょーらい♡」
イーサン「可愛い(●´ω`)つイチゴ」
当局「可愛い(●´ω`)つイチゴ」
指令5
妻が妊娠したとたん「独立王に俺はなる!」とか言い出していきなり無職になった夫の再就職先を探せ。
イーサン「なぜわたしが」
当局「健闘を祈る」
■まとめ
この世界にはきっとわたし以外にもたくさんのイーサン・ハントがいて、今この瞬間にもインポッシブルなミッションを遂行しているのだろうと思う。
そんな「腕の筋肉ばかり発達してお腹の贅肉が全然とれねえじゃねえかこのやろうアームレスラーに転向してやろうか」と言いたくなるぐらい頑張っている全国のカーサン・ハントたちにエールを送りたい。
なおこの記事はわたしの娘が「チー(チーズスイートホーム)観たい」とか言いながらMacBookを強奪して変なボタンを押したり、「これ娘ちゃんの!」とか言いがかりをつけてiPhoneを強奪して変なボタンを押したりした5秒後に自動的に消滅する。
おしまい。
ツイッターもやってるよ。
(2014年12月15日「はなこのブログ」より転載)