篠山紀信が語る"ヌードを撮る理由"

写真家・篠山紀信の写真展『篠山紀信展 快楽の館』が、東京・原美術館(品川区)でスタートした。
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時事通信社

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篠山紀信が語る“ヌードを撮る理由”

写真家・篠山紀信の写真展『篠山紀信展 快楽の館』が、東京・原美術館(品川区)でスタートした。壇蜜、矢吹春奈、佐々木心音など33名のモデルのヌードを原美術館で撮り下ろしており、展示作品はすべてヌード写真で一貫されている。なぜヌードなのか? ORICON STYLEのメンズWebサイトOLIVERは今ここで改めて、「篠山紀信にとってヌードとは何か」を聞いてみた。

現在に至るまで数多くのヌードを撮影してきた篠山だが、多くの人にインパクトを与えた作品といえば、宮沢りえの写真集『Santa Fe(サンタフェ)』ではないだろうか。1991年に発売され25年も前のことではあるが、今もなお話題に上ることが多い。篠山は「それを語るには1日かかっちゃうよ」と苦笑しながらも、当時の想いを聞かせてくれた。

「サンタフェ(米・ニューメキシコ州)という場所は、ジョージア・オキーフという画家とアルフレッド・スティーグリッツという世界的写真家の夫婦が、創作活動をしていたところ。そこで創作された作品を学生の頃に僕は見ていて、素晴らしいと思っていたんです。だから、サンタフェはモノを作る人たちにとって聖地だと思っていた。そこで、この写真集の話になって、宮沢りえが汚れを知らない、一種の聖女なワケで…。聖女を撮るんだったら、聖地に行って撮ろうと、サンタフェに行ったんです」。

「それまでサンタフェという場所は、日本人にはあまり知られてなかったけど、突然なんか有名になっちゃってね」と笑う篠山。被写体の魅力を引き出すのはもちろんだが、写真を撮る上で篠山がもうひとつ大切にしているのは、場所の力だ。

今回の写真展も、“原美術館での展示ありき”だった。「原美術館は、建物自身に色気があるんです。写真にとって、土地・場というのは、とても重要なこと。原美術館は歴史もあるし、建物にもドラマがある。ここで作品を作るのが一番いいんじゃないかと思いました。全作品をここで撮って、美術館に返しましょう(展示しましょう)と提案したら、全面的に協力してくれることになったんです。これは今までにない展覧会になります」。

しかしなぜヌードなのか? そんな疑問に、篠山はいとも簡単に答えてくれた。

「ヌードは、僕のイメージを純粋な形で表現できるもの。人は、服とかメイクとか髪型によってイメージが変わったりして、時代なり、ファッションなりが主張してくるじゃないですか。なので、僕の持っているイメージを、そのまま直接的に表現するということは、一糸まとわない身体だけの方が良い。純化された形で僕のイメージを表現できるワケです」。

欅坂46など人気アイドルの撮影も担当している篠山だが、今一番面白いと思う被写体や場所を聞くと「そんな大事な事、教えるわけでないでしょう」と笑顔を見せる。「写真は時代の写し鏡だから、僕の身体が時代と並走できる力があるうちは、撮り続ける」と語るその姿からは、巨匠となりながらも第一線で走り続ける、アグレッシブなエネルギーとパワーがほとばしっていた。

同写真展は2017年1月9日まで。展示作品やメイキング写真などを収録した写真集『快楽の館』(講談社)も発売されている。

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