岸田文雄外相は10月5日、自身が会長を務める自民党岸田派(宏池会)の研修会で挨拶し、「当面、憲法第9条自体は改正することを考えない。これが私たちの立場ではないか」と述べた。2016年の参院選で憲法改正を公約に掲げるとした安倍晋三首相とは一線を画し、党内リベラルとしての存在感を示す狙いがある。FNNニュースなどが報じた。
岸田氏はこの日、宏池会の歴史を振り返り、「“言論の自由”とか“表現の自由”、この自由を大事にするというスタンスを持ち、これが後ほど自民党の中でリベラルといわれる流れにつながっている」と説明。同派閥の政策の本質についても、「特定の考え方、何とか主義といわれる思想とか、特定のイデオロギーにとらわれることなく、その時代時代において国民が何を求めているか、日本にとって何が大事であるか、極めて政治をリアルに考えて、具体的に政策を打ち出していった」として、「現実的な具体的な姿勢が宏池会の政策の本質だと思っている」と述べた。
そのうえで、9月に成立した安全保障関連法についても派閥で議論を重ねた上で結論を出したとして、「結論が本当に現実の社会の中でしっかりとした役割を果たすのかどうか。これをしっかりと見極める責任がある。これを今からしっかり見極めていかなければならない」などと語った。
宏池会では、9月の自民党総裁選で、名誉会長の古賀誠元幹事長が無派閥の野田聖子前総務会長の出馬を支援したほか、山本幸三・元経済産業副大臣が6月に派閥の会合で、国会で行われていた安保法案の審議について「経済に専念すべきだ。最近、地元の経営者から『自民党支持をやめる。安倍政権の傲慢(ごうまん)なやり方は我慢できない』という手紙が来た。ここまで長期延長して、ごり押しするやり方が本当にいいのか疑問だ」などと投稿し、疑問を呈していた。
その一方、宏池会の若手議員らが立ち上げた「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」が、6月25日に安倍政権に批判的な漫画家の小林よしのり氏を招いて勉強会を開催しようとしたところ、党幹部の一人から「安全保障関連法案への審議に影響がある」として法案成立まで会合を開かないよう求められ、中止となった。
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