自民党総裁選への立候補を表明した岸田文雄政調会長。自民党内のリベラル派である伝統派閥「宏池会」のトップを務める一方、“タカ派”として知られる安倍晋三首相との関係は良好で、“禅譲”候補としても名前が上がっていた。
大臣を歴任し、現在は「党三役」
岸田氏は、1957年生まれの63歳で、沖縄・北方担当相、外相などを歴任し、現在は自民党の意思決定に携わる役職「党三役」の1つ「政調会長」を務めている。政調会長は、政策の調査研究や立案を調整する役職だ。
2012年12月27日付の朝日新聞朝刊によると、岸田氏は安倍首相と当選同期で、安倍氏が党幹事長代理だった2005年ごろ、同世代の議員らと「7人の侍」を名乗って改革論議を交わした仲だという。
選挙区は広島、「ハト派」の会長
広島1区(広島市中・東・南区)を地盤とし、自身の公式サイトのトップには「世界で唯一の戦争被爆国である日本は、これまでもこれからも平和国家として歩みます」などと、平和への思いをつづっている。
外相時代の2016年5月には、アメリカのオバマ大統領の被爆地・広島訪問が実現した。
自民党内のリベラル派・ハト派として知られる保守本流の伝統派閥「宏池会」の会長も務めている。2016年6月24日付「週刊朝日」によると、岸田氏の父・文武氏も宏池会に所属していた。
温厚で堅実だが…?
政治家としては、「温厚で堅実だが地味」なイメージだと産経新聞は伝えている。「堅実」という評価がなされてきた一方で、コロナ禍では、自らが主導した「減収世帯への30万円給付」政策が、「範囲が狭い」などと批判を浴びて実現せず、公明党が求めていた「一律10万円」に取って代わられる形となった。
時事通信によると、岸田氏は政権構想を盛り込んだ著書「岸田ビジョン 分断から協調へ」を9月11日に出版予定だという。
政界随一の酒豪、ジム通い
朝日新聞が伝えるところによると(2017年8月3日付朝刊)、岸田氏は“政界随一の酒豪”として知られ、地元球団「広島カープ」のファンだという。議員会館のジムに足しげく通っているという。
ジャーナリストの池上彰氏は文春オンラインで岸田氏について、「幼少期はニューヨークに住み、その後は東京の永田町小学校に麹町中学校、開成高校という典型的なエリートコース。エリートはほかにもいますが、自民党の有力議員の中ではとても常識人なのです」などと評していた。