「演劇のアカデミー賞」ともいわれる「トニー賞」の発表が9日、ニューヨークであり、ミュージカル部門の作品賞に日本人の川名康浩さんがプロデューサーとして関わった「キンキー・ブーツ(Kinky Boots)」が選ばれた。日本人がトニー賞の受賞者として名を連ねるのは史上初。
■数年越しの悲願、ついにかなう
川名さんは1961年、東京・荻窪生まれ。84年に舞台俳優を目指して劇団四季に入った後、93年に映画を学ぶために渡米。日本の芸能事務所の仕事をしながらニューヨーク大学で映画学を専攻し、ブロードウェーに通いつつプロデューサーの道に進んだ。98年、ニューヨークで独立した。
自身が関わった作品として、2012年の「エビータ(Evita)」、11年の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch me if you can)」でトニー賞候補となったが、受賞はかなわなかった。
日本人としては、世界的服飾デザイナーの石岡瑛子さん(12年1月に死去)がデザインに関わった「スパイダーマン(spider-man)」で昨年のミュージカル衣装デザイン賞にノミネート、05年には宮本亜門さんの「太平洋序曲」がミュージカル・リバイバル作品賞にノミネートされたがいずれも落選していた。
■ヒット映画のミュージカル版
「キンキーブーツ」は2005年にイギリスで公開されたコメディ映画のミュージカル版。イギリスの田舎町にある倒産寸前の老舗靴工場が、経営を立て直すための最後のアイデアとして、大柄な「男」たちが演じるドラッグクイーン向けのブーツを作ることになったという話。
経営再建のために工場に乗り込んできたニューハーフを中心に、紳士靴の職人たちが「奇抜なブーツ」づくりにとまどい失敗を重ねながらも、靴屋の未来のため、それぞれの人生のために一致団結してチャレンジしていく、涙あり笑いありのハートウォーミングなストーリーだ。同作品は今年のトニー賞で最多13部門でノミネートされていた。
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