アメリカのタレント、キム・カーダシアンがフランス・パリで10月3日未明、警官を装った男たちに襲撃され、手足を縛られた上に浴室に監禁され、1000万ドル(約10億円)相当の金品を強奪された。ネット上では同情の声もある一方で、彼女を侮辱する書き込みもある。その流れに乗じて、なぜか全米ライフル協会(NRA)がキム・カーダシアンがかつて銃規制についてツイートしたことを批判した。
大勢の著名人が事件当日にカーダシアンへの支援を表明したが、NRAはここぞとばかりに身元確認の有効性について攻撃した。アメリカでは、オバマ大統領が銃規制の一環として、銃販売業者を全て免許制にし、購入希望者に対する身元調査を義務付ける法案を提出したが、共和党が過半数を占める上院議会で否決された。NRAはまた、2002年の銃乱射事件以降規制を強化しているフランスでも銃の犯罪が起きたことを揶揄している。
ちょっと待て。犯人がパリでキム・カーダシアンに銃を突きつけたって? そんなことが可能なのか? まずはじめに身元確認をしたんじゃなかったのかい?
犯人らがパリの厳しい銃規制法に従わず、恐ろしい犯罪を犯したのはショッキングだ。
より厳しい銃規制法が ... パリにはあったような?
この一連のツイートは、6月12日にフロリダ州オーランドのナイトクラブで49人が銃撃され死亡した事件が起きた後に、上院議会が身元確認の厳格化に反対したカーダシアンの批判に向けているようだ。
誰でも簡単に銃が手に入るのはとても恐ろしいことです。ひどい事件があっても、上院は何もしなかった!!!
NRAはカーダシアンの主張するような身元確認の強化は銃規制にはなり得ないと主張している。身元確認の厳格化は憲法修正第2条に違反し、犯罪者の手から銃を排除するための有効な手段とはならないと訴えている。
しかし、調査によると、身元確認はNRAが主張する以上にずっと有効だとわかっている。雑誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス」が2015年に発表した研究によると、1995年にコネティカット州で銃の購入を厳格化する法律を制定したことで、銃による殺人事件が40%減少したという。その他にも、身元確認が銃による暴力の減少に有効であることを示す研究がいくつかある。
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