【金正男氏殺害】遺体から猛毒「VX」検出 実行犯の女は「洗い流した」?

呼吸器や皮膚から吸収されて微量で死に至る。
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A reporter holds up a local newspaper during his report in front of the morgue at Kuala Lumpur General Hospital where Kim Jong Nam's body is held for autopsy in Malaysia February 18, 2017. REUTERS/Athit Perawongmetha
Athit Perawongmetha / Reuters

北朝鮮の金正男氏殺害事件に使われた薬品は、猛毒の神経剤「VX」と特定された。

現地紙「スター・オンライン」によると、マレーシア警察のカリド・アブ・バカル長官は2月24日、声明を発表し、予備的分析の結果、遺体の目と顔から検出された成分が、VXと一致したことを明らかにした。その他の成分についてはまだ分析中という。

VXはサリンなどと同じ有機リン系の化学剤。無味無臭で極めて毒性が強く、呼吸器や皮膚から吸収されて微量で死に至る。日本では「オウム真理教」が1994年から95年にかけて、被害対策弁護団の弁護士や大阪の会社員らを信徒がVXで襲撃し4人を死傷させたとして、教団幹部らの死刑判決が確定している。

実行犯の疑いで逮捕された女は、薬品を金正男氏の顔に塗ったあと、犯行後にトイレで手に着いた薬品を洗い流していた。アメリカ連邦捜査局(FBI)アカデミーで毒性学を講義するジョン・トレストレール氏は韓国紙・中央日報の取材に「素手で触っても皮膚に浸透せずに安全な薬品など、私の知る限りない」と述べている。

一方で昭和大学薬学部の沼沢聡教授はテレビ朝日に対し「皮膚に付着した場合には、吸収されるまで一定の時間がかかる。例えば10分から30分程度、ほとんど症状が出てこない。その後、症状が出始めるが、それが急速に進行して、数時間で死に至る」と話している。