北朝鮮の金正男氏殺害事件で、犯行を指示していたとみられる北朝鮮籍の男が逮捕された。
マレーシアのクアラルンプール国際空港で、北朝鮮の金正恩委員長の異母兄・金正男氏が殺害された事件で、マレーシアの現地警察は2月17日(現地時間)、実行犯2人に犯行を指示したとみられる男4人のうち、1人の身柄を拘束した。
現地紙「中国報」が伝えた。北朝鮮籍で47歳とするパスポートを持っており、マレーシアに多数の出入国歴があったという。
イギリスのテレグラフによると、4人の男の大部分はクアラルンプールに住んで本国の指示を実行する要員「スリーパー・エージェント」とみられる。
■知り合ったのは数カ月前
実行犯とみられる女2人は、ベトナム国籍のドアン・ティ・フオン容疑者(29)とインドネシア国籍のシティ・アイシャ容疑者(25)。警察の聴取に、犯行の手口や、男との関係を詳細に語っている。
ティ・フオン容疑者は事件の3カ月前に、マレーシアで一人の男と知り合った。ベトナムのティ・フオン容疑者の故郷や韓国などを旅するなど親しい関係になった。アイシャ容疑者とこの男が知り合ったのは1カ月前。その男から今回の4人組の男を紹介された。
ジャカルタのスラム出身のアイシャ容疑者は朝鮮語を話し「北朝鮮で映画に出演しないかと誘われている」と、家族や友人に話していたという。
テレグラフによると、アイシャ容疑者は前夫との間に生まれた子どもをインドネシアに残して、クアラルンプールのナイトクラブで働いていたが、100ドル(約1万1000円)で犯行を持ちかけられ、金が欲しかったので参加することにした。「テレビのリアリティーショー(バラエティー)のスタッフかと思っていた」という。
実行犯の女2人が出会ったのは犯行の直前。4人の男は「いたずらをしよう」と2人に持ちかけ、2人の女は「いたずらの撮影」だと思い、事前に何度も予行演習をしてうまくできるようになったと、スター・オンラインは伝えている。
「中国報」によると、ティ・フオン容疑者は手袋をはめ、薬か乳液のようなものを金正男氏の顔にかけた後、急いで近くの化粧室に駆け込んで液体を洗い流したという。一方で現地紙「スター・オンライン」は、手袋を使ったのか、布を使ったのか明らかでないとしている。
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