アメリカ・ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)の誘拐を計画していた13人の男が逮捕された。
13人のうち6人は誘拐の共謀罪で連邦当局に逮捕され、残りの7人で武装グループ「ウルヴァリン・ウォッチメン」のメンバーは州当局に逮捕された。
ミシガン州のダナ・ネッセル司法長官は「容疑者らは、暴力の脅威で内戦を引き起こし、ミシガン州の議会議事堂を襲撃して知事を含む政府関係者を誘拐しようとした」と記者会見で述べ、暴力的で社会不安を煽る行為を強く非難した。
誘拐は何カ月にも渡って計画されていた
供述書によると、FBIは2020年初めにソーシャルメディアを通して、容疑者らがミシガン政府と法執行機関を転覆させようと企てていることを知った。
容疑者たちは当初、ミシガン州の国会議事堂を200人以上で襲って、州知事を含む複数人を人質にする計画を立てていたという。
しかし7月に計画を変更し、知事の別荘を狙うことにした。計画時にアダム・フォックス容疑者が「おいみんな、クソ知事をひったくって捕まえてやろう。ビッチ(くそ女を意味する女性への蔑称)を捕まえようぜ」と述べたと書かれている。
容疑者らは、知事の別荘の下見や武器を使った訓練、警察の目をそらすための爆弾爆発計画を立てるなどして、綿密に計画を練っていた。
誘拐は11月の大統領選挙の前に実施される予定で、誘拐した後はウィスコンシン州へ連れ去り、国家反逆罪で“告発”する予定だったという。
トランプ大統領にも責任がある
ホイットマー知事は8日の記者会見で、容疑者らに殺される可能性もあったと指摘し、誘拐計画にはトランプ大統領が影響を与えているとして、大統領を非難した。
ホイットマー知事は、3月に新型コロナウイルス感染症拡大防止のための外出禁止令を出した後、何度もトランプ大統領から攻撃されてきた。
度重なる攻撃の後、州都ランシングにある議会議事堂などに武装した人たちが押しかけて、ロックダウンの中止を求める激しい抗議が起きた。
またトランプ大統領は、白人至上主義者などの暴力的な極右団体を非難してこなかった。
9月29日に開催された大統領選討論会で「極右団体プラウドボーイズを非難するか」と問われた際、トランプ大統領は「プラウドボーイズ、下がって待機せよ」と発言。大統領の言葉はプラウドボーイズを喜ばせ、団体が販売しているTシャツやグッズに、この言葉が書き込まれた。
ホイットマー知事は記者会見で「1週間前に、アメリカ合衆国の大統領が国民の前で白人至上主義者とヘイトグループを批判するのを拒否しました」と、プラウドボーイズを否定しなかったトランプ大統領を非難。
さらに次のように述べて、トランプ大統領の言動が犯罪を助長させていると指摘した。
「ヘイトグループはトランプ大統領の言葉を非難ではなく、行動を求めるスローガンだと受け止めました」
「リーダーの言葉には、大きな意味があります。言葉には重みがあるのです。リーダーが国内のテロリストたちを認め、彼らをけしかけ、交流を深めれば、彼らは自分たちの行動を正当化し、犯罪に加担します。ヘイトスピーチを煽って認めれば、彼らは犯罪に加担するのです」
ホワイトハウスは知事を非難
一方、ホワイトハウスのケイリー・マクナニー報道官は声明で、トランプ大統領は「白人至上主義者を含む全ての形のヘイトを非難してきた」と大統領を擁護し、「知事が分断を生んできた」と述べてホイットマー知事を批判した。
また、大統領選挙でトランプ大統領のシニアアドバイザーを務めるジェイソン・ミラー氏も、「ホイットマー知事はペテン師で、大統領を攻撃するのは胸糞悪い行為だ」、とFOXニュースで知事を非難。
「ヘイトについて語りたいなら、ホイットマー知事は鏡を見たらいい。彼女は毎朝起きて、心の中でトランプ大統領へのヘイトを持っている」と述べた。
ハフポストUS版の下記の記事を翻訳・編集しました。