安倍政権の目玉政策として掲げる「1億総活躍社会の実現」に向けて具体策を話し合う「国民会議」の民間議員に、タレントの菊池桃子さんを充てる方針が固まった。10月22日、産経ニュースなどが報じた。
菊池さんは元アイドルとしての知名度に加えて、子育てとタレント業を両立し、労働問題にも強い思い入れがあるなど「1億総活躍」を体現する第一人者として白羽の矢が立ったという。
このほか民間議員には経団連の榊原定征会長、日本商工会議所の三村明夫会頭、岩手県知事を務めた増田寛也元総務大臣など十数人になる見通しだ。議長には安倍晋三首相が就任。議長代理を加藤氏が務めるほか、11閣僚が参加する。外遊中の首相の帰国を待って、29日にも初会合を開く予定だ。
政府は国民会議の議論を踏まえ、11月にも緊急対策第1弾をまとめ、2016年春には具体的な政策パッケージとなる「ニッポン1億総活躍プラン」を策定する。
■「1億総活躍」に違和感を覚える声も
安倍政権が掲げる「1億総活躍社会の実現」だが、具体的に何をやるのか決まってない上に、そもそも「1億総活躍社会」のスローガンへの違和感も指摘する声も続々とハフポスト日本版のブロガーから出ている。
ニッセイ基礎研究所の土堤内昭雄(どちうち・あきお)主席研究員は「暮らし方や価値観が多様化した今日、国民が総じて同じ方向を目指す画一的な政策目標を連想させる言葉を"catchy slogan"にしたことが、どうも時代にそぐわないように思えてならない」と指摘。
東京都の保坂展人・世田谷区長も「『多様性の相互承認』がテーマの時代に、戦争中の国威発揚のスローガンにも通じる『一億総活躍』の語感には、過去に回帰していくようなにおいも漂います」と寄稿。戦時中の国粋主義体制にも繋がりかねないニュアンスを読み取っている。
■身内からも批判「あんな閣僚にならなくて良かった」
このほか、与党・自民党の重鎮からも批判が出ている。自民党の二階俊博総務会長は12日、金沢市内で講演し、加藤勝信氏が就任した新設の1億総活躍担当相が、具体的にどのような政策を推進するのか国民に理解されていないとの認識を示した。内閣改造で入閣した地元選出の馳浩文部科学相を前に「皆さんが(担当相の役職を)不思議だなと思っている。馳さんはあんな閣僚にならなくて良かった」と述べたという。
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