こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日はいち受験生として、小池百合子政経塾「希望の塾」が主催する、都議選対策講座の筆記試験を受験してきました。
都議選に向け、小池都知事主宰の政治塾が選抜試験 約1,600人参加
この選考を通過し、都議選対策講座の受講を認められた方の中から、「都民ファーストの会」が都議選公認者を選定する運びになっているためです。
「え、知事を選挙で応援していた、現職都議まで受験するの?!」
と驚かれた方も多いようなのですが、できるかぎり透明性・公平性を担保し、開かれた選考を行うという方針に基づき、現職都議や「7人の侍」と言われる区議たちも試験に参加しています。
こうした「筆記試験」によって選考を実施することに関して、様々な意見が寄せられているところですが、それについては後述するとして…。
試験内容については口外禁止というわけではなく、すでに多くのマスコミ報道がなされているようですので、まずは私が受けてきた午後の部(1日に2回、入れ替え制で試験を実施)で行われた試験内容について述べたいと思います。
大きく試験は、「論文」と「マークシート式総合適性テスト」に分けられます。
論文試験では、4つの問題が提示され、1問を選択して800文字~1200文字で解答する形式でした。都議選対策講座を希望する人はAの問題を必答、政策立案部会を希望する方はB群の中から1問を選び回答(併願者は、B群の中から問題を選択)。
一言一句正確ではありませんが、問題はこんな感じでした。
(A)
議員提案条例とはなにか、実態と仕組みについて説明しなさい。その上で、各地の現状とあるべき姿について述べなさい。
(B-1)
行政改革には情報公開が重要です、なぜでしょうか。民間企業と行政や違いに触れながら、事例を挙げて理由を3つ以上述べなさい。
(B-2)
アベノミクスとはどういうものか、以前の政権との政策の違いについて触れながら説明し、評価してください。その上で、賛成か反対かの理由と、今後に見通しについて意見を述べてください。
(B-3)
赤ちゃんポストについて、賛成反対それぞれにどのような主張があるかを説明し、その上であなたの考えを述べなさい。
私は都議選対策講座志望者なので、Aの議員提案条例についてを解答。これは現職議員であれば当然、答えられなければいけないもので、ほぼ完璧に近い論文がかけていると思います。
一方でなかなか難しかったのは、後半のマークシート試験。これは難関民間企業の採用試験などで実施されている、GAB(ギャブ)というテストですね。かの有名なSPIより、かなり難易度は高めです。
●与えられた文章を読んで、論理的に正しい・正しくないを判断する言語理解問題(古文のような文章も含む)
●グラフや表から数字を読み取り、計算で正しい答えを出す計数理解問題
●「我慢強い」「意思決定が早い」など、自分の性格に近い選択肢を選び続けていくパーソナリティ診断
の大きく3つに分かれます。言語理解は52問の問題をわずか25分、計数理解も60問を35分という短時間で解くことが求められ、特に計数問題はまず普通の人は最後まで解き終わらないボリュームとなっていました。
これは単純な学力や地頭の良さだけでなく、難しい問題は敢えてスキップして先に進むなど、その場その場での素早い決断力や要領が求められる試験内容です。
余談ですが、受験票に「マークシート式総合適性テスト」と書いてあった時点で、言わずと知れたSPIや今回使われているGAB、あるいはCABやSKKといった、いくつかの適性試験を予測することが可能だったのではないかと思います。
よって賢い受験生は、的を絞ってある程度の対策をしてきたのではないでしょうか。私は就職活動の時にやったことを思い出しながら(筆記試験はわりと得意な方だった)、SPIなどを中心にそれぞれのやり方の復習をざっとしておきまして、無駄にはならなかったと思います。
「時間配分が何より重要」
「わかる問題を確実に取るため、とにかく最後まで進む」
という採用試験のコツを思い出し、最後の方まで解けたので、まあ平均以上のスコアは確実に出せているのではないかと感じている次第です。
…とか言っておいて、落ちてたら本当に格好悪いな!!
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冒頭で触れたように今回、希望の塾が選考過程においてこのような筆記試験を実施したことに対しては、
「ペーパー試験などで、政治家にふさわしい人材を選べるわけがない!」
などの批判が一部からなされています。しかしながらこれは、まったく的はずれなものだと思います。
最終的な公認にいたる過程においては面接なども実施し、またその人の実績や経歴などが考慮されるのはもちろんのこと、そもそもこれまでの政党・政治団体の歴史の中で、民間企業であれば当たり前に行われる筆記試験というプロセスがなかったこと自体が異常だったのではないでしょうか。
プロの人材会社が取り扱う適性試験は、基礎学力に加えてその人が培ってきた様々な資質が可視化されます。「漢字が読めない」「質問が書けない」「政策議論ができない」などという政治家があまりにも多い現状において、一定の能力が新しい議員たちに求められるのは当然のことです。
また、論文・面接といった選考のみでは、その人の実力をスコアで客観的に図ることができず、それこそ「出来レースだ」「コネ内定だ」などのあらぬ疑惑を産む原因になります。
以上の観点から、公認のプロセスにこのような筆記試験が加えられたことは画期的であり、これがベーシックな方法になれば政治家の平均的な資質は間違いなく上がっていくと考えられます。
なお、「塾の事務局なんだから、出る問題は予め知っていたんでしょ?」といういじわるなことを言ってくる方もいましたが、本当に知りません(苦笑)。
正直なところ、当初はまさか自分も筆記試験を受けると思っていなかったので色々と下準備を手伝っていたのですが、途中から事務局内でも明確に役割や会議を分けていました。
もちろん最終的な公認の際には、現職都議としての活動実績も加味されるかと思いますが(されないかも?!)、このように平等で公平なスタートラインを設定することもまた、何かと不透明な政治への信頼回復をするために大切なことではないでしょうか。
マークシート試験の採点は翌日には出ますし、論文も随時、選考委員の方々が読み進めていくはずです。まずは厳かな気持ちで、こちらの結果が出るのを待とうと思います。
それにしても、普段使わない脳の筋肉を酷使して、疲れました…今日は早く寝ます!
それでは、また明日。
(2016年1月7日「おときた駿 公式サイト」より転載)