演説するキズル・カーン氏
イラク戦争で戦士したイスラム教徒のアメリカ兵の父親キズル・カーン氏は11月6日、ニューハンプシャーで行われたアメリカ大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の選挙集会で応援演説し、共和党候補ドナルド・トランプ氏に「いくつか重要な質問がある」と語った。
カーン氏の息子フヤマン・カーン陸軍大尉(当時27)は、2004年にイラクで自動車爆弾の攻撃で戦死した。カーン氏はクリントン氏が候補指名された7月28日の民主党全国大会で演説し、「トランプ氏はアメリカのために何一つ犠牲を払っていない」と批判している。
カーン氏は6日の応援演説で、トランプ氏が選挙期間中に有色人種について発言してきた内容に焦点を当てた。
「ドナルド・トランプよ、あなたのアメリカに、私の息子フマユン・カーンの居場所があるのか?」と、カーン氏は、10月のクリントン陣営の選挙広告の中で彼が言ったセリフを繰り返しながらそう尋ねた。
「ドナルド・トランプよ、あなたのアメリカに、ラテン系の人々の居場所はあるのか? あなたのアメリカに、アフリカ系アメリカ人の居場所はあるのか?あなたのアメリカに、あなたと違う考えを持つ人たちの居場所はあるのか?」
「そう、ありがたいことに、トランプよ、ここはあなたのアメリカではない」。カーン氏は続けた。
「そして火曜日、私たちはアメリカが、私たち全てのものだということを証明する」
カーン氏は、7月の民主党全国大会の演説でも、トランプ氏を痛烈に批判している。演説全文は以下の通り。
今夜、私たちはフマユン・カーン大尉の両親として、また愛国心の強いアメリカ人イスラム教徒として、私たちの国に対し強い忠誠心を持って、ここに立つことを光栄に思います。
多くの移民たち同様、私たちは何も持たずにこの国にやって来ました。私たちはアメリカの民主主義を信じていました。この国の勤勉さと素晴らしさを、私たちも共有しています。そして、その恩恵に貢献することもできることでしょう。
私たちは幸せなことに3人の息子をこの国で育てました。ここで彼らは自分自身に正直でいることができ、自分たちの夢を追うことができました。
私たちの息子フマユンにも、軍の弁護士になるという夢がありましたが、彼は仲間の兵士の命を救うために自分の命を犠牲にしました。その日、彼の夢は叶わぬものとなりました。ヒラリー・クリントンは私の息子を「アメリカで最も素晴らしい人」と言いましたが、それは正しかったと思います。
もしドナルド・トランプだったら、私の息子はきっとアメリカから出て行ってしまったでしょう。ドナルド・トランプは一貫してイスラム教徒のことを中傷しています。彼はその他のマイノリティや女性、判事、そして彼自身の政党の首脳についても蔑視しています。
彼は壁を建設し、そして私たちイスラム教徒をこの国から追い出すことを誓っている。ドナルド・トランプよ、あなたはアメリカ人にあなたと自分たちの未来を信じるように求めている。
質問させてほしい。アメリカの憲法を読んだことがあるのか? ないなら、私が持っている冊子を喜んで貸そう。この文章の中から、「自由」と「法による平等の保護」という言葉を探すんだ。
アーリントン墓地に行ったことはあるのか? そこに行ってアメリカ合衆国を守り死んでいった勇敢な愛国者たちの墓を見てきてくれ。あらゆる信仰、性別、民族があることがわかるはずだ。あなたは何も犠牲にしていない。
壁を建設し、分断の種をまいたところで、私たちの問題を解決することはできません。私たちは一緒にいるとより強くなれます。そしてヒラリー・クリントンが私たちの大統領になれば、私たちは強くなり続けるでしょう。
終わりに、私は全ての愛国心の強いアメリカ人、イスラム教徒の移民、全ての移民に、この選挙を軽く見ないで欲しいと申し上げたい。
これは歴史的選挙です。どうか犠牲となった息子に敬意を表してはもらえないでしょうか。そして選挙当日には、時間をとって投票に出かけてもらいたいのです。
そして傷を癒やしてくれる人に投票しましょう。最も強く、最も資質のある候補者ヒラリー・クリントンに投票しましょう。分断する人に投票してはいけません。みなさんに神のご加護がありますように。ありがとうございました。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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