ドイツのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は11月9日、ユダヤ人に対する暴動が起きた「クリスタル・ナハト(水晶の夜)」を記念してチキンを食べようと呼びかけ、その後謝罪した。
BBCによると、KFCは自社アプリに「今日はクリスタル・ナハトです!自分へのご褒美に、とろりとしたチーズをかけたサクサクのチキンを食べましょう。KFチーズで!」 というメッセージを送信した。
クリスタル・ナハトとは
クリスタル・ナハトは1938年11月9〜10日の2日間、ドイツ全土やオーストリア、チェコスロバキアの一部で起きたナチス主導のユダヤ人襲撃だ。
この襲撃で、ナチ党員や突撃隊が何百ものシナゴーグやコミュニティホール、さらに何千ものユダヤ人の家や店舗を破壊。少なくとも91人のユダヤ人が死亡し、何万人もが逮捕され、その多くが強制収容所に送られた。
破壊されたガラスが、月明かりに照らされて水晶のように光っていたことから「水晶の夜」とも呼ばれ、ホロコーストのきっかけになったと考えられている。
ドイツの人たちは、このクリスタル・ナハトを非常に重く受け止めており、ナチスによるユダヤ人大虐殺を忘れないために、多くの追悼イベントが開催されるという。
すぐに謝罪「システムエラーだった」
ガーディアンによると、KFCは通知の1時間後に謝罪メッセージを送信。
「システムエラーだった」と説明し「心よりお詫びを申し上げます。すぐに社内手続きを確認し、二度と起こらないようにします」と謝罪した。
さらに、同社はエルサレム・ポストに寄せた詳細な声明で、年間行事カレンダーに紐づいた半自動のコンテンツ作成機能を使用しているが、今回の誤送信では「適切な内部審査が行われないまま、未承認の通知が送信された」と説明した。
そして今回の出来事について「明らかな間違いであり、無神経で容認できない」と述べ、「(クリスタル・ナハトの)重要性と歴史を理解し、敬意を払っています。引き続きすべての人のための公平やインクルージョンの取り組みを続けます」とコメントした。
ここ数週間、ラッパーのイェ(カニエ・ウエスト)氏やNBAのカイリー・アービング選手など、著名人の反ユダヤ主義的な言動が続いている。また、アメリカのバイデン大統領は10月、ユダヤ人に対する攻撃が増加していると懸念を示した。
反ユダヤ主義に対する懸念が高まる中で、KFCが今回のメッセージを送信したことに対し、SNSでは「ひどく不快な間違いだ」など怒りや批判の声が投稿されている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。