アメリカのケリー国務長官シリア政府が化学兵器使用と断定する報告書公開

アメリカのケリー国務長官は8月30日、国務省で記者会見し、シリアのアサド政権が化学兵器を使用し、子供426人を含む少なくとも1429人を殺害したと断定した。その上で、化学兵器使用への対応は「アメリカの安全保障と信頼性、国益に関わる問題だ」としてアサド政権に責任を取らせるためにアメリカが行動を起こす決意を明確にした。
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アメリカのケリー国務長官は8月30日、国務省で記者会見し、シリアのアサド政権が化学兵器を使用し、子供426人を含む少なくとも1429人を殺害したと断定した。その上で、化学兵器使用への対応は「アメリカの安全保障と信頼性、国益に関わる問題だ」としてアサド政権に責任を取らせるためにアメリカが行動を起こす決意を明確にした。時事通信が伝えた。

ロイターによると、ケリー国務長官はシリアのアサド大統領を「殺人者」と激しく非難。だが無制限の関与を回避するため、アメリカの軍事対応は慎重に計画されると説明した。

報告書によると、8月21日にシリアで行われた化学兵器による攻撃で426人の子どもを含む少なくとも1429人の市民が死亡した。これは複数の攻撃のうちの1つとしている。

ケリー長官は「独裁者による無慈悲な大量破壊兵器の使用に対し目をそむければ、歴史はわれわれに対し極めて厳しい判断を下すだろう」と訴えた。

一方で、軍事攻撃を含むアメリカのシリア介入のタイミングについて「議会や同盟国、アメリカ国民との対話を続ける。オバマ大統領はわれわれの価値と国益に基づき、われわれの時間軸で決断を下す」と述べ、現段階で最終決断されていないことを示唆した

アメリカのNBCテレビ(電子版)は30日、化学兵器使用疑惑が強まるシリアへの軍事介入に関する世論調査結果を発表、アメリカ軍の軍事行動に反対する回答が50%で、賛成は42%だったと伝えた。介入の是非について、アメリカ市民の見方は割れていることが分かった。

オバマ大統領は軍事介入前に議会から承認を得る必要があるかという質問では「承認を得るべきだ」との回答が79%に上り、「承認は不要」という回答は16%にとどまった。

■ ドイツ・ウェスターウェレ外相「軍事行動の参加考慮せず」

アメリカが主導するシリアへの軍事行動について、ドイツのウェスターウェレ外相は30日、地元の新聞とのインタビューで「軍事行動に参加を求められたことも考慮したこともない」と述べ、現時点でドイツは軍事行動に参加する意向がないことを明らかにした

また、ウェスターウェレ外相は「国連の安全保障理事会での一致した対応を目指していく」とも述べ、あくまで国際社会の結束した対応を目指す考えを強調した。

■ 中国、フランスに軍事行動踏みとどまるよう要請

中国の王毅外相は30日、フランスのファビウス外相と電話で会談し、「戦争と平和に関わる重大な問題では、慎重な態度を取るべきだ」として、軍事行動を踏みとどまるようフランスに求めた

これに対しファビウス外相は「化学兵器の使用に対しては必要な対応を取るべきだ」と強調する一方、「シリアの問題は政治的な解決が最終的な出口だ」という考えも示したと、中国外務省は伝えている。

■ 国連調査団、最後の活動

国連調査団は30日、首都にある軍の病院を訪れた。ロイター通信が伝えた。調査団は31日に帰途に就く予定で、これがシリアでの最後の活動となる

病院では、21日に毒ガス攻撃を受けた被害者の一部が治療を受けているとされ、疑惑解明への手掛かりとなる試料採取や聞き取り調査などが行われたとみられる。

調査団は現地時間の31日朝、日本時間の31日午後にシリアを出国する予定で、患者の検体などを研究施設での分析に回したうえで、できるだけ早くパン・ギムン事務総長に調査結果を報告することにしている

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