『けものフレンズ』たつき監督降板騒動で製作委員会がコメント 二次利用めぐり対立か

制作会社から「8月に入った段階で辞退したい旨の話」があったと説明した。
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けものフレンズ公式サイト

人気テレビアニメ『けものフレンズ』で監督・シリーズ構成などを務めた「たつき監督」が自身のTwitterで同アニメの制作から外れると報告し、波紋を広げていた件で、プロジェクトを運営する製作委員会「けものフレンズプロジェクトA」が9月27日、公式サイトで見解を発表。たつき監督が所属する制作会社ヤオヨロズ側から「8月に入った段階で辞退したい旨の話」があったと説明した。

たつき監督は25日、Twitterで「突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です」と報告した。

このツイートは、27日午前7時現在までに30万回以上リツイートもされた。ネット上では「たつき監督を返して」「たつき監督を、のけものにしないで」といった声や、KADOKAWAへの批判も相次ぎ、波紋が広がっていた。

■製作委員会側「関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました」

「けものフレンズ」は、1月〜3月に放送された第1期に続き、続編が決定している。これについて、製作委員会側は「発表当初より同体制での継続か、新体制での新たな表現かも合わせて検討中で、現時点においてもまだ何も決定していない」と説明した。

一方で、「アニメーション制作会社であるヤオヨロズ株式会社より8月に入った段階で辞退したい旨の話を受け、制作体制を一から模索することになっているのが現状です」と、たつき監督が所属する制作会社ヤオヨロズ側が自らプロジェクトから外れることを申し出たとしている。

『けものフレンズ』は、「動物ファースト」の理念のもと、KADOKAWAを中心にゲーム、コミック、アニメ、舞台などさまざまなメディアミックスでコンテンツが展開されている。アニメのテーマソングを歌う声優陣がテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演したことも話題となった。

こうした活動について製作委員会側は「誰のものでもないプロジェクトとして、動物のための『けものフレンズ』として活動を重ねて参りました」と、その意義を説明した。

一方で、「アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました」と主張。

その上で、「映像化プロジェクトとしては次回の制作を引き続きお願いしたかったため、情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れをさせていただきましたが、ヤオヨロズ株式会社からは、その条件は受け入れられないので辞退したい、とのお返事でございました」と、作品の二次利用をめぐり製作委員会側とヤオヨロズ側で意見の相違があったことを匂わせた。

今後の同プロジェクトについては、「上記のような経緯で一部滞っておりますが、今後も御協力をいただく皆様と共に作品を守り、ファンを守り、動物たちのことをもっと知ってもらう活動をこれからも初志貫徹、続けていく所存です」とした上で、「映像化に関しましても、改めて、そしてできるだけ早くご報告できるよう進めて参ります」とした。

■「けものフレンズ」とは

「けものフレンズ」は可愛らしく擬人化された野生動物たちの姿を描くというプロジェクト。これまでにスマホ向けゲームやコミックで作品が展開されている。

2017年1〜3月にはテレビ東京系列でアニメ作品が放送され、意味深長なシナリオや「すごーい!」「たのしー!」「おもしろーい!」といった中毒性あふれるセリフで人気を集めた。

ネット上では「見るとIQが溶ける」「見ているだけで知能指数が低くなる」など、褒めているのか、けなしているのかよくわからない評も出たが、動画サイト「ニコニコ動画」では第1話の再生回数が1000万回をえており、多くのアニメファンの心をつかんでいる。

人気の高まりを受けて、「けものフレンズ」と動物園とのコラボイベントも開催され、JRAや日清食品のCMに起用されたことも話題になった。

25日夜にたつき監督が「降板報告」をしたことを受けて、ネット上ではKADOKAWAへの批判が相次いだ。署名サイトchange.orgでは、たつき監督の続投を求める署名が立ち上がり、27日午前7時現在までに4万を超える署名が集まった。

カドカワ(KADOKAWAの親会社)の社長でドワンゴ会長の川上量生氏も26日午前、ジャーナリストの三上洋氏からの質問に答える形で「ぼくも心配しています」と、マストドンでコメントした。