千葉・柏の公立中、性別問わず自由に選べる制服を導入  子供も協議に参加、どんな経緯で決まった?

柏の葉中学校の制服を決めるプロセスは?保護者から、「LGBTの生徒に配慮するべき」と提案。
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東京・銀座の中央区立泰明小学校が、2018年4月の新入生から高級ブランド「アルマーニ」がデザインした標準服(制服)を導入することをめぐり、保護者の意向や議論などが不十分なまま決定されたことが物議をかもしている。

一方、制服が「必要か、不要か」の段階から、学校や保護者、子供たちで一緒に話し合いながら新しい制服を決めていった学校がある。

2018年4月に開校する千葉県柏市の柏の葉中学校だ。

加えて、性同一性障害やLGBTなど性的マイノリティーの生徒らに配慮し、性別を問わずに着用できる制服も導入。生徒はスラックス(ズボン)やスカート、リボンやネクタイなどを自由に選べる。なぜこの制服に決めたのか。

柏市教育委員会の担当者に聞いた。

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「柏の葉中学校」制服の原案
柏の葉小学校ホームページより

同市教育委員会の担当者によると、もともと市教委は、柏の葉中の制服を開校前に決める予定ではなかった。

しかし、2017年に開いた保護者向けの説明会で、「入学式の時に制服がないのは困る」という声が保護者からあがった。これを受け、市教委は同校に隣接する柏の葉小学校のホームページで保護者向けのアンケートをした。

アンケートの結果、約9割の保護者が「制服やジャージなどは必要」と回答し、制服の導入が決まったという。

制服の導入が決まり、デザインや素材、価格などを話し合う「制服・校内服等検討委員会」が立ち上がった。同委員会には保護者や児童をはじめ、教員や地域関係者など約10名が参加した。

市教委の担当者によると、検討委員会で話し合いをすすめる中、保護者からLGBTの生徒に配慮した制服にした方がいいのではないか、という声が上がったという。議事録には、以下のように記録が残っている。

「昨今配慮が求められているLGBTについても、きちんと検討しなければならない。詰襟、セーラー服とした場合、詰襟を女の子が着用することは困難であり(逆もしかり)、考える必要がある」

また、検討委員会ではLGBTなど性的マイノリティーの生徒への配慮に限らず、真冬にスカートを履くかどうかについても自由に選択できるような校風になるといい、などの意見もあった。

柏市教委は、あくまで事務局として検討委と制服業者を仲介する立場にいたが、制服選びにあたって参考資料を検討委員会に配った。資料の中には、文科省が2016年に教職員向けに通知したパンフレット、「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」も含まれていた。

このパンフレットには、LGBTなど性的マイノリティーの生徒について、学校がどう対応するべきか、基本的な知識から法制度、学校での支援例などが記されている。

検討委員会での話し合いを経て、制服には男女ともに「ブレザー」を制定すると決定した。

ボトムスは「スラックス(ズボン)」と「スカート」、小物は「ネクタイ」か「リボン」に決まり、いずれも児童が性別に関係なく着たい服を自由に選べるようにした。誰でも違和感なく着られるよう、スラックスとネクタイは「女子用」も揃えた。

市教委によると、制服業者は検討委員会での審査で3社に絞りこみ、最終的に保護者と児童による総投票で決まったという。

「LGBTへ配慮した制服であることや、保護者の方にとって、とても重要な価格面などをお伝えした上で、最終的なデザインを選んでいただきました」

値段はブレザーが約2万円、ズボンが約1万円、ネクタイとリボンは約2000円の予定で、ワイシャツなど一式を揃えると約3万5000円だ。

学校制服の決め方に特段のルールはない。

柏の葉中学校は、学校関係者や保護者を含めた検討委員会を立ち上げ、アンケート調査や協議の結果をふまえて、LGBTに配慮した制服にするという方針や、制服のデザイン・価格などを決めた。

これは近年の学校に多いプロセスだが、「制服がそもそも必要か?」という根本的な点から議論が始まったことや、検討委員会に保護者だけではなく児童も参加したことなどをふまえると、制服についての議論が不足している今、同校の取り組みは特筆すべき事例と言えるだろう。

ハフポストでは、制服の価格が妥当なのか、制服は何のために必要なのか、決定までのプロセスの透明性について考えます。Twitterのハッシュタグ #制服を考える か masako.kinkozan@huffpost.com に声をお寄せ下さい。