親戚を過労死で亡くしたイラストレーターが執筆したマンガが7月22日、Twitterで公開され、大きな反響を呼んでいる。
マンガは「いとこが過労死した」という題名で、執筆者は福岡市出身のイラストレーター・ライターのテンジクさん(@ikinaritenjiku)。2017年6月に、いとこを過労死で亡くしたという。いとこが亡くなる前に直面していた過酷な労働環境や、過労死で親戚を亡くした遺族として伝えたいことをマンガに描いた。
マンガの最後でテンジクさんは、「ヤバい労働状況」に置かれている人に対して、「生きろ。逃げろ。」とシンプルだが重要なメッセージを残している。
「俺たちの若い頃はもっと...」と世代間ギャップの価値観を引き合いに出す人に対しては、「黙れ。」と力強く言い放った。
さらに、「遺族から遺族へ」のメッセージとして、「死因不明の場合は必ず解剖しろ。」とも伝えている。労災認定を受ける基準の対象となる脳出血やくも膜下出血、心筋梗塞などの脳・心臓疾患が、死後解剖で判明する場合もあるためだ。
テンジクさんは、いとこが置かれていた環境や会社の対応について、詳細を自身のサイトでも記している。ハフポスト日本版の取材に対し、「使命感のようなものと孤独と、公開したあとどうなるのかの不安と戦いながら描きました」と、このマンガを執筆した時の心境を語った。
「とても怖かったです。文章だと、読みたくない気分の人もいると思ったので重い内容を少しでも軽くと思って漫画の力が絶対に必要だと思っていました。
公開する準備が整った時は怖くてしばらくボタンが押せなかったです」
マンガが22日に公開されると、ツイートは12万回リツイートされ、大きな反響を呼んだ。過酷な労働環境に苦しんでいる人から同調する声もあった。
「一生懸命描いたものが無反応だったり、冷たいコメントがきたらどうしようという怖さもあったのですが、実際に公開してみるとたくさんの人に感謝してもらえました。
そして、『今こんな状況』『自分はもっと過酷』『家族が倒れないか心配』こんな人がかなり多かった事に困惑しました。自殺を考えた事もあるという方や、今つらいというDMがたくさん届くようになり、こんなに苦しんでいる人がいるんだ、と驚いています」
今後は、長時間労働で命を絶ってしまう人が少しでも減るように、「これからは苦しんでいる人の役に立ったり、一人でも多くの人を救えるようになることを目指して発信していきたいです」と語った。
(マンガが掲載されたテンジクさんのサイト)