中高年の男性にとって、どうしても気になるのが自分の体臭。自分の娘や若い女性からクサイと言われないための第一歩とは?
ここ数年、体のニオイの悩みで来院される中高年の男性が急増しています。その現象の背景を考えてみましょう。
まず、女性の社会進出。職場などで女性の意向やニオイに対する嗜好を中高年の男性が無視できなくなったのではないか。それにより中高年の男性が初めてエチケットに目覚めたともいえるでしょう。
しかし、何事にもマジメな彼らは、それだけでは終わりにならないのです。いままで超無関心であった自分の体臭でさえも、いったん意識が向くと過剰なニオイ過敏症に走ってしまいます。さらに社会の行き過ぎた清潔志向がこれに拍車をかけます。
「ニオイ、イコール不潔」。こんな強迫観念でがんじがらめになったところに経済的不況や希薄な人間関係が追い打ちをかけ、リストラやちょっとした人間関係のつまずきでも「自分の体臭が原因ではないか」と悩んでしまうのです。
でも、私はここで「若者の勝手な言葉など気にするな、もっと自信を持て」と声を大にして言いたい。なぜなら、問題はニオイを出すオジサンだけでなく、ニオイを感じる若者たちの嗅覚のほうにもあるからです。
人間の嗅覚は、三歳から五歳くらいの幼児期に慣れ親しんだニオイは懐かしい記憶として残るといわれています。現代はどこの家でも核家族。おじいちゃんやおばあちゃんに添い寝されたこともなく、お年寄りのニオイになれずに育った若者がオジサンのニオイをイヤだと思うのも当然なのです。
それに、若者たちがオジサンの加齢臭だけをかぎ分けているわけではないのです。人間の体臭は生理的なニオイや生活のニオイが混ざり合って作られています。若者は中高年の男性の言動を視覚的なイメージで捉え、「オヤジクサイ」と嗅覚的に表現しているに過ぎないのです。
駅のホームで平気で痰を吐いたり、食後に爪楊枝でシーハーしたり、時代遅れのオヤジギャグで場を白けさせたり。こんな光景を見ると、若い女性がオジサンは「目」にも「耳」にもクサイと敬遠するのにもそれなりの言い分がありそうですね。
ですから自分の娘や若い女性からクサイと言われないための第一歩は、まず子供の幼児期に父親不在にしないこと。次に身の振る舞いが見た目にもクサくないこと。でも言うは易く、におわざるは難し、ですね。
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