昨日の麗らかな陽気に気を良くしてか、庭の寒桜が例年より少し早めにほころび始めました。
見上げると、もう随分と咲き揃っている枝もあるものの、全体としてはまだまだ1分咲といったところでしょうか。
その証拠に、メジロやヒヨドリといた花喰鳥たちも、未だ参集しておらず、枝を揺らすのは猛然と吹きつける寒風ばかり。
もう数日を過ぎ、枝の葉も落ち切った頃になると、地面は花喰鳥たちが落とした桜花で薄紅色に染まります。
中には、体重オーバーのヒヨドリを支え切れずに手折られたのか、小枝ごと地上に届くことも...
一昨年までは、花の軸ごと落下していたので、拾い集めて桜の薬玉が作れたのですが、
昨年からなぜか、花冠だけがクルクルと風車のように舞いながら落ちてきてしまうので、薬玉作りは打ち止めになってしまいました。
食糧不足で、雀たちも桜を啄(つい)ばむようになったせいでしょうか...
天地ともに庭が桜色に染まる頃、ゴツゴツとした幹からそこはかとなく桜葉の薫りが匂いたち、辺りを満たします。
タンタンもこの薫りがお気に入りだったとみえて、紅葉狩ではすぐいなくなってしまうくせに、桜狩ではいつまででも付き合ってくれたものです。
タンタンもいなくなり、人の世は驚天動地の様変わりを見せる中、それでも桜は今年も変わることなく、ただ静かに花開いて行きます。