安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向」などと内閣府が文部科学省に早期開学を促したとされる文書の存在に関する追加調査について、松野博一・文部科学相が6月15日午後に記者会見し、「19の文書やメールのうち、14の文書について存在が確認できた」と公表した。
松野文科相は会見の中で「大変申し訳なく、結果を真摯に受け留めている」と謝罪した。
一連の文書をめぐっては、文科省は5月に職員などへの聞き取りをしたが、「文書は確認できなかった」とする調査結果を公表していた。
一方で、前川喜平・前文科事務次官が記者会見し、「文書は確実に存在する」と強調。民進党や共産党などは文書が省内で存在するのかどうか、改めて調査をするよう求めていた。
これに対し、菅義偉官房長官は「出所や入手経路が明らかにされない文書の調査は必要ない」と繰り返し、これまで再調査はしない意向を示していた。
6月6日には、内閣府の担当者が文科省側に「官邸の最高レベルが言っている」などと発言したとされる2016年9月26日の打ち合わせについて「確認できない」とする答弁書が閣議決定された。
ところが、文科省の現役職員からも文書が「省内で共有されていた」といった証言もあったことなどから、政府に対して追加調査を求める声が強まっていた。
こうした経緯から、政府・文科省は「追加調査はしない」という方針を転換、再調査に至った。
学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関する文書
追加調査では、前回の調査対象だった専門教育課以外の関連部局の共有フォルダなども調査対象になった。また、民進党などが提示したメール文書で宛先となっていた職員19名からも新たにヒアリングを実施した。
その結果、松野文科相は「民進党等から提示をされた19の文書のうち、14の文書は前回の調査対象以外から、同趣旨・同内容の文書の存在を確認できた」と公表した。
また、「2つの文書については存在が確認できなかった」とした上で、残りの3つの文書については「法人の利益にかかわるものであり、現時点では存否を含め明らかにできない」とし、詳細な説明を避けた。
松野文科相は、「前回調査はその時点において合理的調査であったと考えるが、結果として前回調査の対象以外の共有フォルダから文書の存在が明らかとなった。大変申し訳なく、結果を真摯に受け留めている」と謝罪した。
また、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、文科省の担当者は会見で「担当課長補佐が作成したと考えられる」と説明。この担当課長補佐はヒアリングに対し、「細部まで覚えていないものの、ここにこういう記述がある以上は、こうした趣旨の発言があったものだということ。ただ、その真意についてはわからない」と証言したという。
【UPDATE】(2017/06/15 16:00) 内閣府も調査へ 16日朝に結果公表
山本幸三・地方創生担当相は15日、国家戦略特区制度を使った学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、文部科学省が「総理のご意向」などと記録された文書の存在を認めたことを受け、この文書を含むメールを送信したとされる内閣府の担当者に聞き取り調査する考えを表明した。16日朝に調査結果を発表する。
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