夜の渋谷から変える政治 ラッパー・Zeebraが風営法改正に取り組んだ理由 #YoungVoice

「渋谷がやらなければ、日本中が変わらない」(Zeebra氏)
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音楽アーティストやDJらで作る「クラブとクラブカルチャーを守る会(Club & Club Culture Conference:CCCC)」は6月22日、東京都・渋谷区のクラブ「Sound Museum Vision」で記者会見を行った。

6月23日に改正風営法が施行されることを受けたもので、CCCC会長で「渋谷区観光大使ナイトアンバサダー」も務めるラッパーのZeebra(ジブラ)氏や長谷部健・渋谷区長らが登壇。夜の渋谷から政治を変えた活動を振り返った。

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写真撮影に応じる登壇者。左から、金山淳吾・渋谷区観光協会理事長、別所哲也・渋谷区観光協会名誉理事長、Zeebra・渋谷区観光大使ナイトアンバサダー、長谷部健・渋谷区長、中村貞裕・渋谷区観光大使ナイトアンバサダー=東京都渋谷区のSOUND MUSEUM VISION

■否定ではなく「カッコいい遊び方」を問い直す

改正される前の風営法では、ダンスクラブが深夜営業を認められておらず、警察に相次いで摘発されていた。風営法が制定された1948年当時、お客さんにダンスをさせる営業は売買春の温床とみなされていたからだ。

現代のクラブは、好きな音楽に合わせて体を動かし、仲間と語り合う場所で、法律との間にズレがあった。多くの事業者が疑問を感じながらも、警察など当局との交渉に二の足を踏んでいたという。

そんな中、Zeebra氏らが中心となってCCCCを結成。若者文化に詳しい政治家で作る「ダンス文化推進議員連盟」などと連携し、法律の改正を訴えた。渋谷の清掃活動なども行うことで、「(政治家やクラブの周辺住民ら)関係者の信頼を得ることができた」とZeebra氏は話す。活動が実を結び、2015年6月、朝までクラブの営業を認める改正風営法が成立した。

Zeebra氏は「若い人たちは、『●●をしてはだめ』と言われることを一番嫌う」と主張する。クラブに集う若者の行動を縛るのではなく、渋谷から「かっこいい遊び方」を発信することで、街の文化を発展させたいという。今後は”PLAYCOOL”という理念を掲げて、渋谷のマナー向上に取り組むつもりだ。

Zeebra氏は「『お酒を楽しく飲めるのはクールだが、酔い潰れてしまうのはクールでない』など、カッコよさとはなにか、クールとはなにか、を問いなおし提唱していくことが一番意義深い」と決意を述べた。今後も清掃活動を続けたり、パーティーやレクチャーをしたりする予定だ。

「1990年代、日本のクラブカルチャーはアジアで1番の先進性を誇っていた。今回の法改正をきっかけに、東京をもう1度、アジアをリードするナイトカルチャーを誇る街にしたい」と渋谷区をはじめとした地域の魅力開発に貢献していく決意を表明した。

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プレゼンテーションを行うZeebra氏

■渋谷は「新しい価値を発信する街」

この日の会見では、トークセッションも行われた。長谷部健・渋谷区長は「ファッションにおける『渋カジ』など、この街からはじまったことがたくさんある。昨年も同性パートナーシップ証明書の発行などを行った」とし、「新しいことをし続けていくことが渋谷の価値だと思う。失敗を恐れずに、新しい価値を発信することを続けていきたい」と述べた。

Zeebra氏は「渋谷がやらなければ、日本中が変わらない。ここからすべてを変えていけるのではないか」と応じた。

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登壇者によるトークセッションの様子

■クラブカルチャーが、国と若者とのハブに

会見終了後、Zeebra氏はハフポスト日本版の取材に対して、次のように答えた。

「18歳選挙権もはじまり、若者による社会参加がますます必要とされてくる。そんな中で、我々のような若者向けの団体が、国と若者とのハブもしくは、いいカンフル剤のような存在になれればいいと思う」

「クラブという場所が、そもそもジャンルも思想も多様なユーザー・演者が集まり、コンセンサスを取りながら運営されてきた歴史がある。その原則をこれからも守っていきたい」。