野菜の飲料や調味料などを製造する「カゴメ」は、創業時から各地の契約農家の皆さんと共に歩みを進めてきました。
一般的に農畜産物の取引額は市場価格によって変動するため、経営の安定化が図りにくいという難しさがありますが、カゴメは契約時に取引価格を提示し、全量を購入することで生産者の価格変動による不安を払拭。それにより経営の安定化を図ってきました。
工場で加工される野菜は、契約農家さんの愛情をたくさん受けてつくられているため、カゴメでは畑を「第一の工場」と呼んでいます。栽培の努力を続けてくれているからこそ、カゴメの製品は今日まで愛され続けているのです。
そしてカゴメの野菜事業部には、農家さんと一緒にトマトなどの作物を育てる「フィールドパーソン」と呼ばれるメンバーがいます。
農業のプロ「フィールドパーソン」とは?
フィールドパーソンとは、日本各地にある契約農家さんの畑を自らの足で訪れ、トマトなどの作物の生育状態に合わせて的確なアドバイスを行う、いわば「農業のプロ」です。数百の農家さんの畑を回って、力を合わせて農業を行っています。
例えば、トマトの栽培管理時期(4~9月)には、育苗管理や定植、生育、収穫などの時期に合わせて契約農家さんやJA(農業協同組合)のサポートを行っています。契約農家さんと話し合いながら、面積や生産者人員、栽培品種などを決めるのもフィールドパーソンの仕事です。
私たちの生活に欠かせない「安心・安全な野菜」の栽培は、雨続きや猛暑など、自然現象にも大きく影響されるので、細かく舵を取り続けなくては供給が持続できなくなってしまいます。例えば梅雨時期の降雨が少なく梅雨明けが早い年は、高温や干ばつの影響を受ける地域も多くあります。
カゴメでは、長年培ってきた国産加工用トマトの栽培技術をきめ細かな栽培指針として農家の皆さんに提供していますが、それらの知識をもとに栽培されたトマトが生活者の皆様の元に届くのは、農家の皆さんの日々のたゆまぬ努力があってこそ。安心・安全なトマトの安定した供給の裏では、たくさんの人たちが手を取り合っています。
【フィールドパーソンからのコメント】
「フィールドパーソンとしてのやりがいは、生産者の方々と一緒にトマトや野菜づくりが出来ることです。また、契約農家さんに栽培いただいた畑で、たくさんのトマトや野菜を収穫できることはとても楽しいです」フィールドパーソンの平林さん
カゴメでは、トマト農家さんとフィールドパーソンの対談動画も配信中。ジュース用トマト「凛々子」の栽培に関するそれぞれの想いや、こだわりについて言葉を交わしています。
持続可能な農業を目指して、様々な方法で「未来」にアプローチ
創業以来125年にわたって野菜や果実などの栽培と向き合ってきたカゴメは、持続可能な農業の発展のため、野菜の栽培において様々な取り組みを実施しています。
例えば、カゴメでは7500種類のトマトの種子を保管しており、遺伝子組み換え技術を使わずに品種開発をしています。交配により1つの品種を生み出すのには数年かかる場合がほとんどでしたが、近年は遺伝子解析技術を用いることで飛躍的に期間の短縮が図れるようになりました。
また、収穫機を使った収穫にも力を入れています。国内加工用トマトの必要量が増加している一方で、各地では農業従事者の高齢化が進み、栽培を中止したり、規模を縮小したりする生産者が増えています。この現状を受けて、作業負荷の最も大きい収穫のプロセスを簡易化する加工用トマト収穫機「Kagome Tomato Harvester(KTH)」を農業機械メーカーと共同開発しました。
現在カゴメが保有するKTHは31台で、全国の契約農家の皆さんに貸し出しています。実際に導入してみると、従来の手での収穫と比べて60%程度削減できたという報告もあります。
カゴメでは、引き続き様々な方法で農家の皆さんと力を合わせて、トマトをはじめとした野菜の栽培に注力していきます。