大阪地検特捜部は7月27日、国や大阪府の補助金を不正受給した疑いで告訴・告発されている、学校法人森友学園(大阪市)前理事長の籠池泰典氏と妻の諄子氏から任意で事情聴取した。読売新聞は朝刊で「逮捕へ」と報じているが、27日夕方に同日の取り調べは終了した。
特捜部は6月、大阪市淀川区の森友学園の事務所や豊中市の前理事長の自宅などを家宅捜索した。
事情聴取は、籠池氏と補助金適正化法違反と詐欺の疑いで行われた。告訴・告発されている、それぞれの容疑と籠池氏のこれまでの説明は以下の通り。
<補助金適正化法違反容疑>
国の補助金計約5600万円を不正受給したとする疑いが持たれている。
森友学園は豊中市内の小学校建設で、2015年12月3日の日付で、小学校の建築費に関して金額の異なる3通の工事請負契約書を作成していた疑いがある。国土交通省への補助金申請では、3通のうち最も高額の「23億8464万円」で提出し、実際の金額との差額の約5600万円を不正に受給した疑い。
籠池氏の主張
国会の証人喚問で、建設業者の証言などを元に3種類の契約書を作成した動機などを追及された籠池氏は「刑事訴追を受ける可能性があるので答弁を控える」として明確な説明を避けていた。
<詐欺容疑>
学園が経営する「塚本幼稚園」の専従教員数や障害児らの数を偽って、大阪府から補助金計約6200万円をだまし取った疑いが持たれている。
だまし取った疑いがあるのは、大阪府が、障害のある園児の数に応じて交付する補助金。障害のない園児を障害児として無断で申請していた疑いや、配置するべき教員数が申告よりも少なかった疑いがある。
籠池氏の主張
籠池氏は朝日新聞の取材に対して、教員数の問題は「自分の悪かったところは悪かったと認めないかん」と発言。一方、障害のある園児数をめぐる問題については人手不足などの事情が背景にあるとして「不正というんじゃない」とも述べていた。(朝日新聞デジタル)
森友学園、これまでの経緯
森友学園をめぐる問題は、財務省が小学校用地として売却した大阪府豊中市の国有地が約8億2000万円値引きされていた問題について、2017年2月に朝日新聞の報道で表面化した。また、小学校の名誉校長に安倍昭恵首相夫人が就任していたことも判明。値引きに安倍首相や昭恵夫人の関与があったかどうかも問題になっている。
大阪地検特捜部は、財務省の職員が不当に値引きをし、国に損害を与えたという背任容疑での市民グループからの告発も受理し、捜査を進めている。
NHKニュースは、関係者の話として、財務局側が学園側に「いくらまでなら支払えるのか」を尋ねて「1億6000万円」の回答を得ていたと報じている。財務省側はこれを否定している。
小学校用地の売却の経緯は以下の通り。
2013年4月:深さ3メートルまでの地下から廃材や生活ごみが見つかり、豊中市はこの土地を特定有害物質の汚染区域に指定した。
2013年9月:公募に応じた森友学園は、小学校用地として土地の取得を希望
2015年5月:財務局は森友学園と10年間の定期借地契約と期間内の売買予約契約を締結
2015年7〜12月:森友学園が全域の深さ3メートルの地下までから、コンクリート片など720トンや、鉛などの汚染土1090トンを除去。これにより、汚染区域の指定は解除された。
2016年3月:森友学園側は「地下にさらに大量のごみがある」と報告。財務局に「借地ではなく買いたい」と購入を申し入れ。
2016年4月:森友学園は除去にかかった費用として1億3176万円を大阪航空局から受領。
2016年6月:財務局は鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費として見積もった8億1900万円などを差し引いた1億3400万円で森友学園に土地を売却。
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