謎の「名人戦第0局」に将棋ファン困惑。どうやら順位戦最終局のことらしい…

これまで「将棋界の一番長い日」として親しまれてきたが…。
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(左から)佐藤天彦名人、渡辺明竜王、羽生善治棋聖
時事通信社

毎年、将棋のトップ棋士たちが「名人」への挑戦権を争って戦うA級順位戦。その「最終局」の呼び名をめぐり、Twitterなどで戸惑いの声が出ている。

というのも、日本将棋連盟が11月27日、第76期(2017〜18年)A級順位戦の最終局を「名人戦第0局」と銘打ち2018年3月2日に静岡市で開催すると発表したからだ。聞きなれない名称にファンからは「違和感がある」などの意見が相次いでいる。

A級順位戦は毎年6月から3月にかけて実施されるプロ棋士10人(2017年は11人)によるリーグ戦。今回は羽生善治棋聖や渡辺明竜王、久保利明王将など「A級」のトップ棋士たちが総当りで対局し、佐藤天彦名人への挑戦者を決める。

3月の最終局開催日は、名人への挑戦者が決定する一方、B級1組への降級者も決まる。対局時間の長さや注目度の高さから、棋士やメディア、将棋ファンの間では「将棋界の一番長い日」と呼ばれてきた。

まさに棋士たちの「運命をかけた対局」が実施される日であり、これまでも多くの大激闘やドラマが生まれてきた。

日本将棋連盟広報課の担当者によると、この呼び方は羽生棋聖の師匠だった故・二上達也元会長の時代(任:1989〜2002)に、NHKで放送された将棋の番組名に由来するという。

「今年引退が決まった加藤一二三九段がA級だった頃からの呼び名なので、かなり前です。名前の由来は、半藤一利氏さんの小説『日本のいちばん長い日』からとられたのでしょう」と、同課の担当者は語る。

ただ、長年に渡って親しまれている「将棋界の一番長い日」の呼称を用いず「名人戦第0局」と銘打って順位戦最終局が開催されることについて、Twitter上では「違和感がある」など戸惑う声が出ている。

・違和感がある

・この日で降級する人もいるのに...

・かえって、わかりにくくない?

・「将棋界の一番長い日」以上の言葉を知らない

・プレーオフになった場合どうするの?

なぜ、こうした名称になったのだろうか。ハフポスト日本版が日本将棋連盟広報課に取材したところ、「名人戦第0局」と銘打って順位戦最終局が開催されたのは、今回が初めてではないという。

同課の担当者はこう語る。

「2014年に同じく静岡で開催された際も、『第72期名人戦第0局』という名称が使用されました。これは静岡市が徳川家康の顕彰400周年の記念事業の一環として、順位戦の最終局を誘致する際に考えられたものになります」

「理由としては、将棋の名人制度にゆかりがあるとされる徳川家康にちなんで、銘打たれたものだと思われます」

ただ、将棋連盟側と静岡市側、どちらが考案した名称なのかは、当時の担当者が不在のためわからないという。

一方で、ファンに親しまれた「将棋界の一番長い日」という名称が無くなるわけではないという。同担当者は「当日も『将棋界の一番長い日』という言葉は使われると思います」と述べた。

3月の『名人戦第0局』で名人挑戦者が決まらなかった場合は、従来通りプレーオフ対局が開催されるという。

【訂正】(2017/11/30 12:00)

『第72期名人戦第0局』について、当初は「2012年に」次いで「2015年」としましたが、正しくは「2014年に」でした。お詫びして訂正いたします。

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