「日本新聞労働組合連合」(新聞労連)の全国女性集会が東京都内で開かれ、最終日の4月22日、福田淳一・財務次官のセクハラ疑惑を受け、「セクハラに我慢するのはやめよう」というタイトルで、参加者が声明を出した。
権力を笠に着る者たちからの、人としての尊厳を傷つけられる行為に我慢するのはやめよう。「私に非があったのかもしれない」と自分を責めるのはもうやめよう。
同僚や先輩、上司に訴えても聞き入れられず、「受け流せ」「事を荒立てるな」と言われて黙認され、屈辱的な気持ちを抱えてきた。
取材先で、取引先で、社内で、耐えることが評価の材料にされ、都合の良いルールを押しつけられてきた。訴えようとすると、「会社の恥を出すな」「面倒な奴」だと揶揄され、なかったことにされてきた。
財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑を訴えた仲間をはじめ、これまでも意を決してセクハラを訴え出た仲間に敬意を表したい。守ってくれると信じて打ち明けた上司に受け止めてもらえなかった仲間の気持ちを思うと、どんなにつらく、腹立たしい思いをしたのだろう。私たちもショックで、悔しくてならない。仲間の勇気ある行動に続いて、私たちは手を携え、真実を追求し、向き合っていく。
健全なジャーナリズム組織であり続けるために、会社は最優先で私たちの人権を守ってきただろうか。セクハラを黙殺するような対応を取り、泣き寝入りを強いることがあってはならない。社内・社外ともにセクハラは断固として許さないという強い決意や、加害者と闘う姿勢を見せてほしい。もし、取材先や取引先の担当から女性を外せば問題は起きない、と考えているとしたら、根本的解決から逃げている。
セクハラや性暴力を告発する米国発の「#MeToo」運動を、自らの身に引きつけて振り返ってみると、私たちも長い間セクハラをやり過ごしてきた。セクハラで傷つき、職を辞した仲間たちを見てきた。これ以上、このような状況を見過ごし、受け入れることはできない。こんな不条理や屈辱はもう終わりにしよう。
セクハラは性差別であり、性暴力であり、人権侵害だ。力の差を利用したセクハラの容認は、人権侵害と権力側の暴挙を許しているのと同じことだ。そうした態度が、権力側に見透かされ、つけ入る隙を与えている。私たちが無くしていかなければならないのは、セクハラ行為と、その加害者や行為を黙認する態度や組織だ。性差を超えて、立ち向かおう。
仕事にセクハラはいらない。私たちは、言葉を社会に届ける専門職集団だ。
セクハラにNOと言おう。言葉でNOと示そう。私たちは一人じゃない。
■メディアでの「セクハラ」、当事者の声を募集
一方、財務省次官のセクハラ疑惑を受け、大学教員や記者有志が「メディアにおけるセクハラを考える会」を立ち上げ、メディア内のセクハラ実態調査に乗り出した。事例を集め、本人の了解を取った上で公表し、改善につなげるのが目的。
代表を務める谷口真由美・大阪国際大准教授は、「メディア内の状況を改善するためには、まずはどのようなセクハラの実態があるか調べるため、事例を集めて公表する必要があると考えた」と説明する。新聞、テレビなどのメディアの現場の記者から、詳細な報告が相次いでいる。
セクハラについて、経験したり見聞きした事例や経験を、4月30日までメールで受け付けている。詳細は、谷口准教授のFacebookで公開中。