過激派「イスラム国」は3日、拘束しているヨルダン軍パイロット、ムアズ・カサスベ氏と見られる人物の殺害映像を公開した。これを受けて、ヨルダン軍は「大規模な」報復をする考えを示した。
映像では、オレンジ色の服を着せられたカサスベ氏とみられる人物が黒い檻の中に立っており、生きたまま焼死させられる様子が映し出されている。カサスベ氏は空爆作戦中の墜落で昨年12月以降、イスラム国に拘束されていた。
軍報道官は、テレビ放送された声明で、軍パイロットの死亡を確認した上で、「報復は、ヨルダンを襲った惨事ほど大規模なものになるだろう」と述べた。
カサスベ氏の親族がロイターに対し明らかにしたところによると、ヨルダン軍のトップは、同氏が殺害されたと家族に伝えた。ヨルダン国営テレビによると、政府はイスラム国がパイロットを1月3日に殺害していたことを確認したという。
一方、ヨルダンは、イスラム国から人質と交換に釈放を求められていたイラク人女性、サジダ・リシャウィ死刑囚の刑を数時間以内にも執行する見通し。イスラム国は当初、殺害された後藤健二さんとリシャウィ死刑囚との身柄交換を要求。ヨルダン政府はその後、リシャウィ死刑囚の釈放の条件として、イスラム国に拘束されていたヨルダン人パイロットの解放を求め交渉していた。
米ホワイトハウスのアーネスト報道官は、米情報当局は公開された映像の信ぴょう性の確認や、撮影日時の特定を急いでいることを明らかにした。
安倍晋三首相は4日午前の衆議院予算委員会で、ヨルダン軍のパイロットが「イスラム国」によって殺害されていたことを強く非難するとともに、テロに屈しない方針を改めて訴えた。
安倍首相は「言語道断であり、大きな憤りを覚える」と発言。「日本はヨルダンとともにある。ヨルダン政府、国民に心から連帯の意を表したい」と語った。さらに、「テロに屈しないというヨルダン国民の意思に敬意を表したい。日本もテロに屈することはない」と述べた。
また、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長も3日、恐ろしい仕業だとイスラム国を糾弾。
「国連事務局は、人命に対し何の敬意も持たないテロリスト集団『イスラム国』によるカサスベ氏の殺害を非難する」との声明を発表した。さらに「各国政府に対し、人権尊重の範囲内で、テロの惨劇や過激思想と戦うためのさらなる尽力を求める」と述べた。
[アンマン/東京 4日 ロイター]
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