ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏が7月9日、亡くなった。
SMAPや嵐、少年隊、光GENJIなど国民的人気アイドルをいくつも育て上げたジャニー氏。
表舞台に姿を見せることはほとんどなかったが、ジャニー氏の人柄、考え方やエンタテインメントにかける強い思いは、「子どもたち」と呼ぶタレントたちの口を借りて、明かされることも多かった。
舞台の制作現場やコンサート会場、稽古場などを訪れ現場主義を最後まで貫いたというジャニー氏。有名な「ユー、やっちゃいなよ」だけでなく、タレントやファンに対して、名言の数々を残していた。過去の報道から振り返る。
デビュー前後の城島茂さんに「ユー、ステージに出ちゃいなよ」
「ユー、ステージに出ちゃいないよ」「新しい振り付け、考えちゃいなよ」(TOKIOの城島茂さんに語った言葉。2017年7月20日朝日新聞夕刊)
城島さんは、デビュー前後に先輩のコンサートを見に行った際、ジャニー氏から「ユー、ステージ出ちゃいなよ」と言葉をかけられたという。また、バックダンスで振り付けを覚えるのに苦労していたときには、「新しい振り付け、考えちゃいなよ」と言われたことがあったそうだ。
城島さんは23歳でTOKIOとしてCDデビューし、アイドルとしては遅めのスタートだった。もがいていた当時、城島さんはそんなジャニー氏の言葉を思い出していたという。
滝沢秀明さんに「僕は君たちに10あげるから、君たちは僕に1返してね」
「僕は君たちに10あげるから、君たちは僕に1返してね」(滝沢秀明さんに対して語った言葉。2014年1月19日朝日新聞朝刊)
中学2年でジャニーズ事務所に入った滝沢さんは、ジャニー氏のことを「師匠でもあり、父親的な存在でもある」と慕う。昔、強く怒られた際に「僕は君たちに10あげるから、君たちは僕に1返してね」と言われたという。
滝沢さんはその言葉の意味が最初はわからなかったが、30代になり、後輩ができて、意味がわかってきたという。
「みんなをタレントとして大きくするキッカケを作る。だから、1でもいい。そのキッカケを自分で広げなさい。ってことなのかなと思います」と語った。
堂本光一さんに「YOUの思うショックを作ってみたら」
「YOUの思うショックを作ってみたら」(KinKi Kidsの堂本光一さんに対して語った言葉。2015年1月15日朝日新聞夕刊)
堂本さんは2005年、ジャニー氏が作、構成、演出を手がけていた舞台「エンドレス・ショック」の構成や演出に関わるようになった。当時、堂本さんはジャニー氏に「YOUの思うショックを作ってみたら」と声をかけられたという。
堂本さんは「ジャニーさんとの勝負ですね。勝てないですけど。ジャニーさんにNOと言われる作品を作ってはいけないと思う」と語った。
「エンドレス・ショック」は2000年の初演以来、今年3月には1700回公演を達成した。
SMAPの中居(正広)君なんて、全然しゃべれなかったけど…
「歌やダンスだけでは通用しない。オールマイティーでないと。可能性を広げるために技術を蓄えてほしい。SMAPの中居(正広)君なんて全然しゃべれなかったけど、今しゃべりを専門にしてる。それが楽しい」(ギネス・ワールド・レコーズに認定された後、朝日新聞のインタビューに語った。2011年10月22日朝日新聞夕刊)
ジャニー氏は、ギネス・ワールド・レコーズで「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」に認定された。
その際、朝日新聞のインタビューで、数々のアイドルをどのように育ててきたかを上記のように語っていた。
「彼らを想(おも)う気持ちに変わりはありません」
「この度3名が自分達の決意で異なる道を歩み始めますが、どこにいようとも、又どのような立場になろうとも、彼らを想(おも)う気持ちに変わりはありません」(報道各社へのファクスで書かれたコメント。2017年7月8日朝日新聞夕刊)
2017年6月、SMAPのメンバーとして活動していた稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人が、ジャニーズ事務所を離れることが発表された。ジャニー氏は報道各社に送ったファクスで上記のようにコメントした。
「ショービジネスでやる以上、お客様を飽きさせちゃいけない」
「言葉で理解するよりフィーリングで感じてほしい。ショービジネスでやる以上、お客様を飽きさせちゃいけない」(朝日新聞のインタビューで語った言葉。2015年1月21日朝日新聞朝刊)
83歳当時のジャニー氏は、インタビューの中で、ショービジネスへの衰えない情熱を上記のように明かした。
海外からの観客を意識した演出について触れ、「海外の人に日本に来てもらい、楽しんでもらえる舞台を作りたい。ドレミファソラシドという『世界共通言語』でもある音楽で訴えかければ、外国人にもより分かりやすいでしょう」とも語った。
2018年7月には、事務所のホームページに載せた「ごあいさつ」の中で、以下のようなコメントを寄せ、意欲を示していた。
「エンタテインメントを通じて世界中の皆さまに幸せをお届けする」という、創業当初からの目標でもありました、新たなステージに挑戦する時だと考えております。(2018年7月10日付で事務所のホームページでコメントした)