「自炊代行」と呼ばれるサービスは著作権侵害に当たるという判決が、9月30日に東京地裁で初めて下った。大須賀滋裁判長は作家の東野圭吾さんらの訴えを認めて、業者2社に対して計140万円の賠償と業務の取りやめを命じた。朝日新聞デジタルが報じている。
「自炊」とは、紙の本を所有者自身が電子書籍へと変換することを指すネット用語。裁断機やスキャナなどの専用の機器が不可欠で、専門的な知識と手間がかかるため、本を持参すれば代わりに自炊してくれる業者が現れた。これが「自炊代行」と呼ばれるサービス。蔵書をiPadなどのタブレット端末やスマホで気軽に楽しむことができるようになるため、読書愛好家の間で密かに人気を集めていた。
これに異を唱えたのが、7人の著名な作家や漫画家、漫画原作者たちだった。INTERNET Watchによると2012年11月、「自炊代行は著作権を侵害する行為だ」として業者7社に自炊代行の差し止めを求める訴えを起こした。作家の東野圭吾さん、浅田次郎さん、大沢在昌さん、林真理子氏。それに漫画家の永井豪さん、弘兼憲史さん、漫画原作者の武論尊さんと、そうそうたる顔ぶれだった。
著作権法に詳しい雪丸真吾弁護士は弁護士ドットコム提供の記事の中で、紙の書籍をデジタルデータにする行為は著作権法上の「複製」に該当するため、原則として、著作権者の許可がないと違法。「私的利用」に限って例外的に合法と認められているため、業者と依頼主のどちらが「複製の主体」なのかが焦点だと解説していた。
【※】今回の判決、読者の皆様はどう考えますか?読者の利便性と著作権者の権利を守ることをどう両立すべきかご意見をお寄せください。
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