【あわせて読みたい】神宮外苑の再開発に“人間の鎖”で抗議。260人が参加し「伐採反対!」
「声をあげないと何も変わらないとわかっているので、今日はここに来ました」
東京都庁前広場で4月9日、明治神宮外苑の再開発に抗議するデモが開かれ、参加者の一人である大学生の佐々木由さんが話した。
9日のデモでは、集まった人々が大量の樹木伐採を伴う再開発を認可した東京都と小池百合子都知事に抗議。
都庁に向けて「森を守って」「樹のある街を」など思い思いのメッセージを書いたプラカードなどを掲げた。
デモに参加した人々は、東京都や小池都知事にどんなメッセージを訴えたのか。
「緑が失われるのがつらい」
もかさん
「私は山登りや神社仏閣が好きで、緑からもらうエネルギーやリラックス効果が素晴らしいと感じています。神宮外苑はそういうものをもたらす場所だと思っています。その緑の場所が失われていくのがつらくて、どうしても残していかなければという思いです」
「明治神宮の森は、100年前の人たちが将来の人のことを考えてデザインされた東京の森だと聞きました。伊勢神宮には内宮と外宮がありますが、明治神宮も内苑だけではなく外苑も守らなければいけないと思います」
「命を大切にしてほしい」
つぼみさん
「私は、生活と政治が切り離されていると感じています。でも、政治は社会のためなんだから、本当はつながっていなくちゃいけない。今の政治は、命というのを軽んじているとも感じています。木を大切にして、それにつながっている命を大切にしてほしい」
「自分の子どもの世代にも残すべき場所」
佐々木由さん
「自分は大学3年生なのですが、神宮外苑再開発の見直しを求める活動には、私たち若い世代のために木を残してあげようという願いが込められています。また、私自身も子どもたちに残さなきゃいけないと思っています。木を伐採すれば私たちの世代だけじゃなく、自分の子どもたちも大きな被害を受けます」
「こういった活動に参加するのは今回が初めてです。若い世代にとっては敷居が高いものではありますが、声をあげないと何も変わらないとわかっているので、今日はここに来て、この『百年の歴史を殺すな』というメッセージを訴えました」
「影響力のある人も声をあげてほしい」
二見さん
「気候変動って騒いでいるのに、あるものを壊して、木を切って、環境破壊して……言ってることとやっていることが矛盾しすぎています」
「(神宮外苑再開発の見直しを求めた)坂本龍一さんの影響力を見て、やっぱり有名人の力はすごい、インパクトがあると思いました。環境のことに一生懸命取り組んでいる他の有名人にも声をあげてほしいです。それに、こういった伐採の問題は神宮外苑だけではないので、他の自治体の首長の意見も聞きたいし、球場やラグビー場を使っているスポーツ選手たちがどう思うのかも知りたいです」
「木を植えて増やし、育んでほしい」
魚ずみちえこさん
「まさか、東京で何千本も木を切るなんて思っていませんでした。(都市の樹木を伐採するのは)世界と真逆の動きです。小池知事がゴーサインを出しましたが、子どもを持っている親として、こういった活動に参加して声をあげずにはいられません」
「また、切るなというだけじゃなくて、増やしてほしいということも伝えたい。木を植えて増やし、育んでほしい。今後もそのことを声にしていきたいです」
広岡彩さん
「自然があるところには、虫などの生き物たちがやってきます。それがなくなれば、虫たちや生き物たちも居場所をなくしてしまいます」
「人間は、自然や木、生き物たちと共存しています。生き物のことを考えず自分たちのことだけ考えて木を好きなように切っていいわけではないと思うんです。生き物に優しい人間でいてほしい」
SNSでも「気持ちは一つ」
主催者によると、9日のデモの参加者数は200人以上。集まった人々は、東京都庁に向かって「伐採反対!」の声をあげた。
さらに、Twitterではこの日参加できなかった人たちが「予定が入っていたけれど、行く気持ちは満々です。次回は参加します」「今日は行けないけれど、気持ちは一つ」 など応援のコメントを投稿して、連帯を示した。
神宮外苑の再開発は、3月28日に亡くなった音楽家の坂本龍一さんも見直しを求める声をあげており、小池知事らに宛てた手紙で「目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と訴えていた。
この坂本さんの訴えも後押しとなり、神宮外苑の再開発見直しを求めるオンライン署名は、賛同者が急増。
9日のデモの主催者である経営コンサルタントのロッシェル・カップさんと大学生の楠本夏花さんの叔母である楠本淳子さんらが立ち上げた署名の2つをあわせて、9日時点で19万筆以上が集まっている。