2016年3月22日、ベルギーでイスラム国(IS)による連続テロ事件が発生しました。日本人も2人重軽傷を負いました。一人は滝田祐さん(生命保険協会(東京都)から国際保険連盟協会に出向中)、もう一人は現地の旅行代理店勤務の日野実さんという方だそうです。
【テロ事件のタイムライン】
3月22日朝8時過ぎ ブリュッセル空港で2回爆発(3個目の爆弾も発見された)
3月22日朝9時半頃 ブリュッセル市街地の地下鉄マルベーク駅で爆発
実行犯は4人でベルギーの捜査当局はその内、空港で自爆した2人の名前を発表しました。2人はブリュッセル在住の兄弟で1人はハリド・バクラウィ、もう一人はイブラヒム・バクラウィということです。
特にイブラヒム・バクラウィは2015年6月に拘束し、国外追放したとトルコのエルドアン大統領が記者会見で述べました。その後7月にトルコはベルギーに「この人物はテロリストだ」と警告までしていたということです。
さて、なぜベルギーでテロが起きたかというとその原因の一つに上げられるのはテロ事件の4日前の3月18日に、2015年11月13日に起こったパリ同時多発テロ事件の実行犯(全員で10人、9人は死亡し生存している最後の1人)であるサラ・アブデスラムがベルギーのブリュッセル内で逮捕されたことと無関係ではなく、仕返しの可能性もあるでしょう。
ではなぜ、ベルギー人とイスラム国が関係しているかといいますと、ベルギーにはモレンベークという人口10万人程度でその約4割がイスラム教徒の移民等が居住する地域があり、そこには「シャリア4ベルギー(解散済み」というイスラム国(IS)と連携していたとされるイスラム過激派が存在するような地域があるのです。
そういう訳でベルギーは「テロリストの温床」とまで言われる国なのです。18日に逮捕されたサラ・アブデスラムはこのシャリア4ベルギーの一員だったということです。
イスラム国(IS)によるテロというとイスラム国がテロリストを派遣してテロを引き起こすというイメージもありますが、実際は人種関係なくイスラム国にシンパシーを感じた人達が、自分たちの地元でテロを起こすケースが主流のようです。こういった人達を「ホームグロウンテロリスト」と言います。
2015年11月のパリ同時多発テロも実行犯はフランス人ですし、今回のベルギー連続テロ事件も自爆した2人の兄弟はベルギーのブリュッセル在住です。
さらにイスラム国の最大の特徴は色んな外国人が構成員として加わっていることです。フランス人やイギリス人、ドイツ人も多くいます。
ではなぜ、こういったヨーロッパ人が、イスラム教スンニ派(イスラム教にはスンニ派とシーア派という大きな2つの宗派がある)であるイスラム国に従ってサラフィー・ジハード主義に感化され自爆するのでしょうか。
サラフィ―とはイスラム教の預言者ムハンマド(マホメット)の死後4人続いた後継者(カリフ)が統治した良き時代(正統カリフ時代と言います)に戻そうという主義のことです。また、ジーハードとはイスラム教を守る聖戦のことです。
要するに正統カリフ時代に戻すためにテロを起こすことをサラフィー・ジハードといいますが、なぜイスラム教でも最初はなかった外国人が感化され、テロを起こすようになるのでしょうか。パリ同時多発テロで自爆した女性の犯人は最初はイスラム的な人物ではなかったそうです。
そのヒントが「イスラームとの講和 文明の共存を目指して」(内藤正典、中田考著)に書かれてありました。以下引用します。クルアーンとはコーランのことです。イスラム教の聖典です。