ジェフ・セッションズ氏とは何者か? トランプ氏が司法長官に起用、「KKKに共感する」との発言も

KKKのコメントは冗談だと主張している。

ドナルド・トランプ次期大統領は11月18日、共和党の最右派で、不法移民排斥を主張するジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州)を司法長官に指名した。

セッションズ氏の司法長官選出のニュースに、懸念が広まっている。

彼はかつて、自分は白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)に寛容的と発言し、後に「冗談だった」と釈明している。移民政策で強硬な立場をとるセッションズ氏が、アメリカ司法省を監督・指揮し、法律問題に関し大統領や当局に助言し、政府が提訴された時には連邦政府を代表することになる。

セッションズ氏が30年以上にわたる議員生活のなかで、アメリカのリベラルを恐怖に陥れた理由が8つある。

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11月17日トランプ・タワーで報道陣に答えるジェフ・セッションズ氏

1. 黒人公民権運動家を訴追し、人種差別だと批判を受けた

1980年代、アラバマ州の弁護士だったセッション氏は、公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の側近を含む3人の黒人公民権運動家を訴追した。黒人コミュニティで募金活動をした際に不正をしたというのが訴追理由だった。彼らは無罪となり釈放され、公民権団体はセッションズ氏が人種差別的理由で訴追したと非難し、白人コミュニティで同様の行為については無視していると指摘した。

ロナルド・レーガン元大統領が1986年にセッションズ氏を連邦裁判所判事に指名した際には、上院は、セッションズ氏が非公式に黒人公民権運動団体「全米黒人地位向上協会」(NAACP)を「非国民」「共産主義に触発された集団」と呼び、アメリカ自由人権協会 (ACLU) は「国民の喉元に公民権を押し付けたと称したとの証言を得た。本件の証人で政府機関弁護士の J. Gerald Hebert は、 自身がかつてセッションズに対しある白人弁護士が人種的裏切り者と表記されたことについて語り、セッションズが「彼はたぶんその通りだろう」と言ったと証言した。上院は、彼の指名を拒否した。

2. 「KKKに共感する」と発言、冗談だったと釈明

セッションズ氏が上院議員になる前、KKKについて「彼らがマリファナを使用しているとわかるまでは」共感していたと語ったという。黒人検察官から発言を非難されたセッションズ氏は、「冗談だった」と釈明した。また、セッションズ氏はこの検察官を「ボーイ」(黒人に対する蔑称)と呼んだ。セッションズ氏は、KKKのコメントは冗談だと主張している。

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セッションズ氏 (1996年の初当選後に撮影) はKKKに寛容的だと発言したのは「冗談」だったと釈明した。

3. アメリカ在住者の不法な市民権取得に反対

セッションズ氏は、市民権取得のルートを持つ不法移民を支援した共和党員は離党すべきだと語った。彼は、「アメリカに不法入国する者はすべて、市民権の恩恵は受けられない」というポリシーを共和党全員が順守すべきだと語った。「不法移民の市民権を支持することは資格停止処分に値する。これはオバマケアを支持する候補者は公認されないのと同じだ。不法移民の恩赦を支持する候補は許されない」とも語った。

4. セッションズ氏の強硬な主張をまとめた冊子「入国ハンドブック」は、外国人嫌悪の烙印を押された

セッションズ氏は、2015年1月、同僚の共和党上院議員のために不法移民制限に関する23ページの冊子「入国ハンドブック」を著した。この冊子で、移民は「アメリカの福祉に依存している」とし、オバマ大統領の不法移民への恩赦を非難し、自分は不法移民の入国を阻止する「長期キャペーン」を貼ったと語った。彼は共和党上院議員に法律の強化のため闘うよう要請している。「アメリカは国境を管理し、この国で住んで働く人を決める決定権がある主権国家ではないか?」と彼は問いかけた。オンライン雑誌「Salon」は、この冊子を「真性の右翼ポピュリストで外国人嫌悪」と呼んだ。

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セッションズ氏が書いた移民に関する冊子は「右翼ポピュリストで外国人嫌悪」と称された

5. 合法移民の削減も提唱している

セッションズ氏はワシントン・ポストに寄稿し、移民審査の基準を批判し、移民の流入で競争が拡大する低賃金のアメリカ人労働者を守るという彼のお決まりのテーマを繰り返した。「我々にいま必要なのは、移民の削減だ。新規流入を減速させれば賃金は上がる。生活保護の登録を縮小し、同一化させれば我々は一層一致団結できる」

6. トランプ氏が公約に掲げた「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国禁止」を賞賛

最も批判を受けているトランプ氏の公約「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国禁止」には共和党議員の多くが衝撃を受けたが、セッションズ氏はむしろ賞賛している。白人至上主義的な保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」会長で、トランプ氏から首席戦略官に指名されたスティーブ・バノン氏とのインタビューで、セッションズ氏はこう語った。「現在、より多くの人が入国してきてその多くがテロ行為をしている。その多くが自分たちの宗教が命ずるところだと信じている。だから私は、この問題を議論し始めたほうがよいと考える」

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アラバマ州マディソンで2月、トランプ氏 (右) を応援演説するセッションズ氏

7. トランプ氏の「メキシコとの国境に巨大な壁を作る」公約を支持

セッションズ氏は長年アメリカのメキシコ国境の要塞化を主張し、トランプ氏が掲げた「長さ200マイル(約320キロ)、高さ55フィート(約17メートル)の壁の建設するという公約を支持した。彼は、トランプ氏の大統領選立候補を支援した最初の上院議員だった。大統領選前にセッションズ氏は「南西部の国境は危機に瀕している。外国人の不法入国を防ぐための壁がなければ、国境を越える不法移民を全員拘束し、国外退去させるための国境警備に携わる勇敢な人たちの人員配置が十分ではないという事実を浮き彫りにしている」

8. 「女性の股間をわしづかみにすること」は性暴力ではないと主張

セッションズ氏によると、トランプが女性の股間をわしづかみにするのを自慢していたことが性的暴力に当たる非難するのは間違いだと語った。「私はその行為を性暴力だとは思わない。こじつけだ」と、セッションズ氏はインタビューで答えた。説明を求められたセッションズ氏はこう付け加えた。「わからない。彼が……どのような状況で起こったかはっきりしていない」。

司法長官に就任するにあたり、セッションズ氏は30年前に失敗したことをやらなければならない。つまり、上院の承認が必要となる。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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