トランプ次期大統領の新たな上級顧問、娘婿のジャレッド・クシュナー氏とは何者なのか?

無給でポストに就くことになっている。
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NEW YORK, NY - NOVEMBER 18: Jared Kushner, the son-in-law of President-elect Donald Trump, walks through the lobby of Trump Tower on November 18, 2016 in New York City. President-elect Trump and his transition team are in the process of filling cabinet and other high level positions for the new administration. (Photo by Spencer Platt/Getty Images)
Spencer Platt via Getty Images

ドナルド・トランプ次期大統領は1月9日、娘イバンカさんの夫で、ジャレッド・クシュナー氏(36)をホワイトハウスの上級顧問に指名した。クシュナー氏は不動産ビジネスや週刊紙の経営などを手がける実業家で、大統領選でも陣頭指揮をとり、支持者拡大に貢献した。

義理の息子を閣僚に起用するトランプ氏の決断は、親族を閣僚ポストに就任させることを禁じた1967年施行の「反縁故者法」を考慮した場合、法律違反にあたるのではないかと一部の法律顧問から指摘を受けている。

クシュナー氏の弁護士の主張では、この法律はホワイトハウスには適用されず、トランプ氏自身が大統領としてホワイトハウス職員を指名するのは「他のどんな法規にとらわれず」に実施することを認めた過去の判例にもとづいているという。

ハーバード大学出身のクシュナー氏とは、どんな人物だろうか?

トランプ氏の娘イバンカさんの夫

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トランプ氏の長女イヴァンカさんとは2009年に結婚し、2人の間には2016年3月に第三子が生まれた。

クシュナー氏はユダヤ教のモダンオーソドックス(近代的正統派)の家で育てられた。クシュナー氏の両親は、ユダヤ教徒の女性と結婚することを望んでいた。雑誌『ニューヨーカー』によると、2008年にクシュナー氏は、イバンカさんと交際して3年経った頃、「宗教的な理由」で一度破局したという。

2人が交際を再開させたのは、「現代版シンデレラ」と呼ばれる中国人セレブのウェンディ・デンさんと当時の夫で「メディア王」と称されるルパート・マードック氏が招待した、ヨットでの週末旅行がきっかけだった。

イバンカさんはユダヤ教に改宗し、子供たちもユダヤ教信者として育てられている。

反ユダヤ主義者として批判を受けたトランプ氏を公の場で擁護している。

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2016年2月、トランプ氏はTwitter上で反ユダヤ主義的なヒラリー・クリントン氏のポスター画像を公開して批判された。画像の背景には100ドル紙幣があしらわれ、六芒星(ユダヤ教のダビデの星)がクリントン氏の横に並んでいた。六芒星はユダヤ人やユダヤ教の象徴とされ、イスラエルの国旗にも描かれている。

六芒星には「史上最悪の汚職候補者!」と書かれてあった。

https://www.huffingtonpost.jp/2016/07/04/donald-trump-launches_n_10804680.html

後に、雑誌『オブザーバー』のブログで、ユダヤ教徒として育ったクシュナー氏は、祖父がホロコーストの生存者だと述べ、義理の父トランプ氏を「非常に愛情があって懐の広い人物だ」と擁護した。

また、ブログには「この人物の本心からのリアクションは、ユダヤ教徒とイスラエルに対し、本能的に友好的なものだ」とも書かれてあった。

「つい先週のことです...聴衆の一人が『シオニスト・イスラエル』に浪費することについて尋ねたのです。私の義理の父は、ひるまずに返答しました。『イスラエルは、アメリカにとって非常に重要な同盟国であり、私たちはイスラエルを100%保護するつもりです』。原稿も、側近も、テレプロンプターもない……本心から出た力強い言葉です」

無給でポストに就くことになっている。

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家業である不動産会社のCEOと週刊紙『ニューヨーク・オブザーバー』の発行者職を離れるクシュナー氏は、ホワイトハウスの上級顧問に就くにあたって、給与を受け取らない。

公式サイトによると、クシュナー氏は、2万戸のアパート、1200万平方フィートの面積になるオフィス・スペースと工業地を所有または管理している。

政権移行チーム関係者の話では、クシュナー氏は5番街にある超高層ビル「666」の持ち株を、市場価格で母親が経営するトラストに売却することで処分するつもりだという。

すでに、政権移行チームの中の有力者だ。

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DON EMMERT via Getty Images

大統領選以来、クシュナー氏は政権移行チームの主要な連絡役の1人となり、イスラエル関係者とコミュニケーションを取っている。クシュナー氏は1月8日、白人至上主義者の上級顧問スティーブ・バノン氏(写真左)と一緒に、イギリスのボリス・ジョンソン外相と会談した。

クシュナー氏とバノン氏はまた、イスラエルに関連する問題についても密接に協力している。アメリカ大使館をエルサレムに移動させる協議も進めており、中東の緊張を高めかねない動きだ。

クシュナー氏は、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ポール・ライアン下院議長、ルパート・マードック氏を含む多数の大物たちとの連絡役を果たしてきた。

クシュナー氏はまた、議会の首脳と会談を行い、閣僚候補者の面談に力を貸した。

「復讐は冷ましてから食べる料理である」と信じている。

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ニュージャージー州知事クリス・クリスティー氏は、トランプ氏の副大統領候補として報じられたが、クシュナー氏は、インディアナ州知事マイク・ペンス氏を推薦した。

クリスティー氏は政権移行チームの責任者に指名されたが、結局チームから外れ、ペンス氏に交代した。クリスティー氏が政権移行チームから突然離脱したのは、クシュナー氏との不和が原因だとされている。

2004年に、クシュナー氏の父親チャールズ・クシュナー氏は、当時ニュージャージー州の連邦検事だったクリスティー氏に脱税、証人買収、違法政治献金の罪で起訴され、有罪となって服役した。

NBCは、この動きをクリスティー氏に近いあらゆる人を対象にした「スターリン式粛清」の一環と伝えている。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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