7月10日、安保法制特別委員会で質問に立った。民主・維新提出の領海警備法、日韓関係に続き、以前ブログで書いた自衛官の確保について質問した。
今年度自衛官の採用は約1.3万人。この数は、男性の新成人の50人に1人あたる。この数を採用し続けたとして、2030年には40人に1人、2040年には30人に1人、2060年には男性新成人の25人に1人が自衛官になる計算になる。任務が拡大しさらに採用数を増やすとこの比率はさらに上昇する。
こうした状況でどのように自衛官を確保していくのか中谷大臣に質問したが、「この数年募集の倍率は7倍を超えている。今後も優秀な人材が集まってくれると思う」という楽観的見通しを述べるだけであった。私は、若年人口の減少で、近い将来、自衛官の確保は難しくなる可能性が高いと見ている。
自衛隊には貸費学生という制度(※)はあるが、資格者は理科系の大学もしくは大学院生で今年度は16人。入隊前の1年間で月5.4万円という極めて限定的な制度だ。米国では、軍に入ると退役後に大学の奨学金などを受けとることができる充実した制度があり、これにより多くの軍人を集めている。
日本でそうした制度が導入される可能性を確認するために、法制局長官に経済的なアドバンテージを与えて自衛官を採用することの合憲性を聞いたが「公務員制度に整合するなら可能」という答弁があった。
国民の生活と命を守る自衛官は尊い仕事だ。本来、その役割から見て、自衛官の確保は志願によってなされるべきだと思う。所得格差が広がり、学費の工面に苦労している家庭が増えてくることを考えると、本音では希望していないが、経済的理由で自衛官になる若者が出てくる可能性がある。
政府案では、自衛隊が集団的自衛権を行使し、周辺事態を全世界に拡大し、イラク戦争の後方支援を行い、PKO活動を積極化する。私はそこには無理があると思う。わが国は戦後の歴史から見ても、人口減少という現実から見ても、「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」の方針の下、自衛隊の役割を絞り込み、我が国がやれることをしっかりとやっていく必要がある。
※大学・大学院(理系)の学生が、学術を生かして自衛隊に勤務する場合に在学中に毎月5万4千円支給されるというもの