防衛白書2015年度版、中国への警戒と批判強める「自らの主張を妥協なく実現」

政府は7月21日、2015年度版の防衛白書を発表した。今回の防衛白書は、中国の動向や軍事情勢についての新たな記述を増やし、批判を強めたのが特徴。安倍政権が中国への警戒感を一段と強めていることをうかがわせる。
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A Taiwan Coast Guard boat (R-with red flag) is blocked by a Japan Coast Guard vessel (L) in the waters near the disputed Diaoyu / Senkaku islands in the East China Sea on September 25, 2012. Coastguard vessels from Japan and Taiwan duelled with water cannon after dozens of Taiwanese boats escorted by patrol ships sailed into waters around Tokyo-controlled islands. Japanese coastguard ships sprayed water at the fishing vessels, footage on national broadcaster NHK showed, with the Taiwanese patrol boats directing their own high-pressure hoses at the Japanese ships. AFP PHOTO / Sam Yeh (Photo credit should read SAM YEH/AFP/GettyImages)
SAM YEH via Getty Images

政府は7月21日、2015年度版の防衛白書を発表した。今回の防衛白書は、中国の動向や軍事情勢についての新たな記述を増やし、批判を強めたのが特徴。集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍政権が、中国への警戒感を一段と強めていることをうかがわせる。 

中国についての主な新しい記述は以下の通り。

・中国の東シナ海でのガス田開発

・中国の海洋進出を「自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢」と批判

・中国が「南沙諸島にある7つの岩礁で急速かつ大規模な埋め立て活動を強行」と批判

・中国が海空軍などを統合運用するための「東シナ海統合作戦指揮センター」を新設と指摘

・中国国内の反腐敗運動の内容を紹介

・日中の外務・防衛当局間による「海空連絡メカニズム」の早期運用開始

■自民部会「中国の活動に関する記述が少ない」

このうち、中国の東シナ海でのガス田開発をめぐっては、自民党国防部会(佐藤正久部会長)が7日、「中国の活動に関する記述が少ない」と批判し、防衛白書の了承をいったん見送った。そして、防衛省に中国のガス田開発についての記述を加筆させ、16日の同部会で改めて了承した経緯がある。

この加筆された箇所は、「中国は2013年6月以降には、東シナ海の日中中間線の中国側において、既存のものに加え、新たな海洋プラットホームの建設作業などを進めている」と指摘。「中国側が一方的な開発を進めていることに対して、わが国から繰り返し抗議をすると同時に、作業の中止などを求めている」と記された。

中谷元(げん)防衛相は10日の衆院平和安全法制特別委員会で、この掘削のための新たな海洋プラットホームに中国が軍事レーダーを配備する可能性があると指摘した。

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また、南シナ海などでの中国の海洋進出についても、これまでの防衛白書では「高圧的とも言える対応を示している」との表現にとどまっていたが、今回の白書では「高圧的とも言える対応を継続させ、自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢」と記述を増やし、警戒感を募らせている。

■中国の国防費「過去27年間で約41倍」

中国の公表国防費については、「引き続き速いペースで増加している」と強調。「名目上の規模は、過去27年間で約41倍、過去10年間で約3.6倍となっている」と指摘した。

世論の反発が強い集団的自衛権の行使容認については、日本を取り巻く安全保障環境の変化を指摘したうえで、「今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様などによっては、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る」とし、行使容認の必要性を強調した。

このほか、シリアやイラクの混迷に乗じて勢力を拡大してきたIS(イスラム国)など、国際テロ組織については、「先進国においてもテロ発生のリスクが増大しており、わが国とも無縁とは言えない状況が起きている」と記した。

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