泉田裕彦・新潟県知事が4選出馬を撤回。新潟日報批判で「東電との関係」に言及(UPDATE)

泉田氏はホームページに掲げた文書の中で、地元紙・新潟日報社の報道を強く批判した。最も強調したのは…
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県議会本会議で、4選を目指し出馬表明する泉田裕彦・新潟県知事=撮影日:2016年02月26日

新潟県の泉田裕彦知事(53)は8月30日、次の知事選(10月16日投開票)への立候補を撤回すると、後援会のホームページで明らかにした。

泉田氏はホームページに掲げた文書の中で、地元紙・新潟日報社の報道を強く批判した。最も強調したのは、「日本海横断航路」に関する内容だった。

新潟県が出資する第三セクター「新潟国際海運」は、新潟と極東ロシアを結ぶ航路を開設するため、韓国の企業からフェリーを購入する契約を結んだ。しかし、船の整備状態に問題があるなどの理由で、三セク側が受け取りを拒否。韓国の企業から残金約1億6000万円の支払いを求められるなどのトラブルになっていた。

泉田氏はフェリー購入の判断について「事前に県側に報告はなかった」と議会などで答弁しているが、新潟日報は7月から8月にかけて、県側が購入判断に関与していた可能性を報じていた。県側は計9回の申し入れや抗議文を新潟日報に送っている

これについて泉田氏は文書の中で「再三の申し入れにもかかわらず、訂正や説明もなく、最近まで県から申し入れがあった事実も報道してもらえませんでした。(中略)このため、県が組織的に虚偽答弁をしているのではないか等の誤った印象が形成されている」と新潟日報を強く非難した。

■福島第一原発「メルトダウン隠し」東電に厳しい姿勢

泉田氏は経済産業省職員を経て、2004年に自民、公明の推薦を受けて知事選に初当選し、現在3期目。

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福島第一原発2号機周辺。奥に見えるのが3号機。(2016年2月25日)

大きく注目を浴びたのは、福島第一原発のメルトダウンを巡る、東京電力への厳しい姿勢だった。東電が求める県内の柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田氏は「福島の事故の検証と総括が先だ」と認めてこなかった。

その発端になったのは、福島第一原発事故から7日後の2011年3月18日。泉田氏は柏崎刈羽原発の関係者を呼んで福島の状況説明を受けたが、メルトダウンについて「可能性を含めて認めなかった」ことを問題視した。新潟県は独自に「技術委員会」と呼ばれる有識者会議で福島の事故の検証を続け、技術委は東電に再調査を要求。東電は当初、メルトダウンについて「定義されていなかった」と説明していたが、2016年6月、「メルトダウンの判定基準が社内マニュアルに明記されていたが、5年間その存在に気づかなかった」と発表し、謝罪した

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2016年8月25日、東電は姉川尚史常務(原子力・立地本部長)が新潟県庁を訪れて泉田氏に謝罪した。

泉田氏の8月30日の文書では、新潟日報社の原発報道を巡る姿勢も批判している。

東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、国の原子力防災会議でも問題が認識されている原子力防災については、例えば、県が指摘している現在の指針に従えば避難が必要になったときにはUPZ圏内の住民40万人強を2時間で避難させなければならなくなる問題等県民の生命・健康を守るうえで重要な論点の報道はありません。このような環境の中では、十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しいと考えています。

いずみだ裕彦 後援会Webより 2016/08/30)

新潟日報は1942年誕生の地元新聞社。朝刊発行部数は約50万部、新潟県内の普及率は約63%で県内トップとしている。ハフポスト日本版は、新潟日報社に見解を求めた。

【UPDATE】2016/08/30 18:55

新潟日報社は8月30日、「明日の紙面で明らかにします」とのコメントを出した。新潟県外に住む人に向けての対応を求めたところ、担当者は「今日の時点では、これ以上でも、これ以下でもありません」と回答した。

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