岩波・広辞苑の「フェミニズム」「フェミニスト」の説明文が変わります

現状は「女権拡張論(者)」→どう変わる?
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岩波書店の「第七版」特設サイトより
岩波書店

岩波書店は10月24日、「広辞苑」の第七版を2018年1月に発売すると発表した。市民団体から「誤解を招く」などと書き換えを求められていた「フェミニズム」「フェミニスト」の説明文について見直すことを決めた。

同社の辞典編集部の担当者がハフポスト日本版の取材に対し、書き換えを認めた。改訂は2008年以来10年ぶり。

現行の第六版では、「フェミニスト」について「①女性解放論者。女権拡張論者。②俗に、女に甘い男」と説明。「フェミニズム」は「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする思想・運動。女性解放思想。女権拡張論」と説明している

これに対し、2017年5月、男女平等を求める若手フェミニストグループ「明日少女隊」が、岩波書店に「フェミニズム」「フェミニスト」の説明文の書き換えを求める公開書簡を送るとともに、オンライン署名を開始。これまでに約6200筆を集めていた。

公開書簡によると、「明日少女隊」は「フェミニスト」の「女性解放論者、女権拡張論者」という説明について以下のように指摘している。

「男性支配的な社会を、女性支配的な社会に変えるために、女性問題の解決や女性の権利だけを主張していると、多くの人が理解するのではないでしょうか」

「しかし、現在、フェミニストが実際に主張していることは、政治的・社会的・私的な領域で、どんな性として生きていても平等に扱われることです。広辞苑第六版の語釈では、あらゆる性の平等を目指すフェミニストの理念が明示されていないために、言葉の核心にある意味が伝わっていません」

「イギリス、アメリカ合衆国、フランス、韓国の辞書にも、性別平等の意味が入っています」として、平等の概念を盛り込んだ文章に書き換えるよう求めている。

「明日少女隊」によると、アメリカの「ウェブスター辞書」は、「フェミニズム」について「The theory of the political, economic, and social equality of the sexes.」(性別間の政治的、経済的、社会的平等の理論)などと説明し、イギリスの「オックスフォード辞書」(米国英語版)では「The advocacy of women's rights on the basis of the equality of the sexes.」(性別間の平等に基づく、女性の権利をサポートする理論や運動)などと説明しているという。

広辞苑は「国語+百科」辞典という位置づけで1955年に初版が刊行。各分野の専門家が、従来から載っている言葉の説明文や新たに盛り込む言葉を監修し、必要なものは見直している。

辞典編集部によると、「フェミニズム」「フェミニスト」については、国語と社会学の専門家がチェックしているという。担当者は「指摘を考慮し、説明文を見直すことにしました。どういう表現になるかは、来年1月に出る第七版を見て欲しい」としている。