トランプ政権内で性的少数者(LGBT)の権利を制限しかねない大統領令案が起草されていた問題で、大統領の長女イヴァンカ・トランプさんと夫のジャレッド・クシュナー上級顧問が反対し、問題となった草案が廃案になったと、2月3日に政治専門サイト「ポリティコ」が報じた。
草案は2014年7月にオバマ前大統領が署名した「職場でのLGBT差別を禁じる」とする大統領令を取り消す内容。2017年1月に草案の内容が流出し、ジャーナリストや人権団体などの間で懸念が広がっていた。
ロイターによるとトランプ政権のスパイサー報道官は1月30日の記者会見で、「トランプ大統領がLGBTの権利を制限するような大統領令を出す可能性はあるのか」との質問に対し、「多くの大統領令がある。大統領が実行したい事は色々あるが、今のところ優先課題はない」と答えた。
1月31日、スパイサー報道官は「LGBTなどの保護を定めた(オバマ政権の)大統領令を引き続き実行すると再確認した」とする声明を発表した。また同日ホワイトハウスは、「トランプ大統領はLGBTを含む全てのアメリカ国民の権利を守る」とする方針を示した。
トランプ政権が方針を転換した背景についてポリティコは、イヴァンカ氏とクシュナー氏の反対があったとしている。関係者の話によると、2人は「2014年にオバマ氏が出した大統領令への支持をトランプ大統領が約束するとの明確な声明を出し、反発を止めるべきだ」と主張したと報じている。イヴァンカ氏とクシュナー氏は過去に、LGBTの権利擁護を訴えている。
またポリティコは、検討されていた反LGBT的な大統領令案には「マイク・ペンス副大統領の影響があった」という意見を紹介している。ペンス氏は過去にインディアナ州知事としてLGBTの権利に反対する運動を率いた経験がある。
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