自分ひとりで気持ちよくなれる? "エロメン" 一徹さんに聞く、セックスを楽しむコツ

セックスの不満、どう伝えたらいい?
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波多野公美

AV男優としてのキャリアは10年以上。今年1月までは女性が作る女性のためのAVメーカー「シルクラボ」の専属男優を5年務めたエロメン・一徹さん。女性誌『anan』の夏のセックス特集の付録DVDでも欠かせない存在で、AVを見る習慣がない一般女性の知名度も高い。

心からセックスを楽しむには何が大切なのか。大切な人とのセックスの悩みを具体的に解決するコツは? 前編に続いて、一徹さんに聞いた。

セックスの不満、男性にどう伝えたらいい?

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Couple lying on bed

――前編で、男性と女性の間では、お互いの望むセックスに大きな溝があることがわかりました。それを埋める具体的な方法はありますか。

セックスはコミュニケーションだとお話しましたが、間違ったAVの知識で間違った愛撫をしてくる男性に対して、女性から、それはやめてほしい、もっとこうしてほしい、ということを伝えることです。キーワードは、「Thank you,but...(ありがとう。でも......)」。「ふんわり話法」が効果的です。

たとえ間違ったやり方でも、男性も、あなたを喜ばせたくてやっているはずなんです。だから、まず伝え方としては、「ありがとう。でも、ちょっと痛い"かも"」、「ありがとう。でも、ちょっと苦しかった"かな"」。できれば、「こうしてくれると気持ちいい"かも"」と、どうしてほしいかまで具体的に伝えてくれたら、僕ならうれしいですね。

例えば「お前の手マンが下手だから痛いんだよ!」と言われたら、男性も傷ついてしまうので、あなたのせいじゃないの、私の好みだから、つきあってもらってもいいかな? と下から相手に伝える「ふんわり話法」をぜひうまく使ってみてください。

――著書『恋に効くSEXセラピー』でもこの方法を紹介されていますが、一見男性のプライドにおもねっているように見えて、一徹さんは一冊を通じて、それが通じない相手なら今後の付き合いも考えたほうがいい、というところまでセットでアドバイスしていますね。セックスはリトマス試験紙のようなものでしょうか。

やっぱり男女のセックスは違うんです。男性は、勢いよくビューンと射精に向かって一直線なので、そこまでを早送りしたい。女性は、ゆるやかに昇ってゆるやかに下っていくので、だんだん盛り上げることが必要。その溝が埋まることは、永遠にないのかもしれません。

セックスはお互いにそういう違いを理解した上で、それでも、歩み寄ることが大事なのではないでしょうか。そこに必要なのは、「知る」ことです。相手を知ること、自分を知ること、AVを教科書にせず正しい快感の仕組みを知ること、その上で、相手を思ってコミュニケーションすることだと思うんです。

女性はもっとマスターベーションをしてほしい

――日本の女性はセックスについて受け身の人も多い印象がありますが、一徹さんは女性にもっとマスターベーションすることを勧めていますね。

自分ひとりで気持ちよくなれるということは、自分のセックスファンタジーもわかっているし、心の解放のさせ方も、自分の体がどうしたら気持ちよくなれるのかも知っているということです。

ちなみに、男性は誰に教えられるでもなく、それを10代の頃から知っています。女性もそれを知らなければ、セックスを楽しめないのは当然だと思うんです。

自分の体のどこが気持ちいいのかわからないのに、他人はなおさらわかりませんよね。丸投げされると困ってしまう男性も多いと思うので、自分が気持ちいいポイントを知って、このへんが気持ちいいかも、と「ふんわり話法」でうまく伝えてもらえると、男性もうれしいと思います。

――マスターベーションになじみがない女性は、何から始めればよいでしょう?

ちょっとエッチだなと感じるマンガや小説を読んだり、好きな俳優さんのエロティックなシーンがある映画を観たりして、まず、どんなものならときめくのか、自分のセックスファンタジーを見つけるところから始めるといいと思います。

参考にお伝えすると、女性向けで僕が演じる男性は、優しく包んでくれる王子様系か、ぶっきらぼうで強引だけれど実はあなたのことが好きという俺様系が多いんです。あと人気なのは、嵐の相葉くんみたいな、男の僕から見ても元気で愛らしい子犬系。

まずは、女性が好むその王道の3つから、自分がどのタイプの男性にときめくのかを見つけてもいいかもしれません。

そして、その好みの彼を思い浮かべて、自分がされたいシチュエーションを反芻して、それを脳みそに溶け込ませながら自分の体をさわっていく......。そうすると、ここが気持ちいい、というのがわかってくると思います。

男性は清潔感と誠意を!

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波多野公美

――男性への具体的なアドバイスもお願いします。

衛生面と清潔感、あとは女性を傷つけなければ、合格点だと思います。

衛生面というのは、最低限、爪の手入れをする、コンドームを着ける、病気がない、ということ。爪は女性の体にさわるので、引っ掛かりがないようにしたほうがいいですが、手でする愛撫はAVみたいに激しくする必要はありませんよ。

清潔感は、お風呂に入る、歯を磨くなどで改善できるし、けっこう大事なポイントです。女優さんからNGが出ている男優さんがいて、なぜこの人が?と思って理由を聞いてみると、口が臭いとか、足が臭いとか、意外とそんなことでNGになっていたりするんです。

いちばん大事なのは、やってみて、相手のリアクションが絶対にあるので、そこで相手の立場に立って、思いやりを持って、コミュニケーションを取っていくことです。セックスに秘策はないので、誠心誠意、相手のリアクションを受け止めて返していってください。

――セックスは高度なコミュニケーション、なのですね。

僕は女性が大好きで、セックスを仕事にしていますが、いまも、女性とセックスするときは、毎回「させていただく」という気持ちで、一人ひとりの女優さんと、ほんの短い時間でも気持ちを近づけようと、試行錯誤を繰り返しています。

相手に心を開いてもらいたいなら、まずは自分から。それで、二人のコミュニケーションがうまくいって、楽しいセックスができればいいですよね。

もちろん、誰もがセックスをしなければいけないわけではありません。人と人との関係で、何が正解かえらそうなことは言えないですけれど、相手が傷つくセックスはしてはいけないし、自分が疲れているとか、好きな人がいないときも、する必要はないんです。

そういうときは、僕のいるAVの世界のファンタジーを、男性も女性もサプリメントとして、日々のうるおいにしていただけたらと思います。

(取材・文 波多野公美)

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