ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性暴力を受けたとして慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟が10月7日、東京地裁で結審した。判決は12月18日に言い渡される。
結審後に伊藤さんは、参議院議員会館で開かれた裁判報告集会に出席。
支援者らを前に、「結果はどうなるかわかりませんが、この歩みを少しでもみなさんに見ていただいて、これからの法改正や、どんな支援が必要なのかというところにたどり着く鍵になってほしい」と思いを語った。
意見陳述の内容とは 山口敬之さんは反論
この日は伊藤さん、山口さん双方が意見陳述を行い、結審した。
伊藤さんは、意識がない状態で、さらに自身の意思に反して山口さんから性行為を受けたと主張している。集会で伊藤さんは意見陳述を読み上げ、「あの日から、私は自分の尊厳を取り戻すために、できる限りのことを尽くしてまいりました。この民事裁判はその一環です」などと述べた。
代理人の西廣陽子弁護士によると、山口さんは意見陳述で、伊藤さんの証言を虚偽などと主張。「犯罪者に仕立てあげようとしている」などと反論したという。
山口さんは、名誉毀損などを理由に伊藤さんに対して1億3000万円の慰謝料と謝罪広告の掲載などを求めて反訴しており、裁判ではこの訴訟も審理している。
伊藤詩織さんが報告集会で語ったこと
この日の裁判では、伊藤さんの父親が傍聴席に座っていたという。
伊藤さんは涙を流しながら、「どういう気持ちで座っているのかな。今まで自分の意思でこの件について話してきたんですけど、どういう風にこれまで考えてきたんだろうと思いました」と、父親への思いを吐露。「性暴力は一緒にいる家族だったり、まわりにいる友人に物凄い影響を及ぼします」と訴えた。
判決については「どのような結果になるか、私たちにはわかりません」と述べ、支援者らに対し、結審を迎えた心境を以下のように述べた。
「今回の民事では、できるだけオープンに、みなさんにどういった事実があったのか、どういった証拠があって、どういったやりとりがされているのか、今の日本の司法で何が難しいのか、何が機能していて何が機能していないのかというところを見ていただくためにも、今回の民事(裁判)をやることにしました」
「支援の団体の名前は『Open the Blackbox』ということで、今まで『ブラックボックスの中にあることだからわからない』と言われてきたことを、少しでも事実を明らかにできるようにと、その気持ちを汲み取っていただきました」
「結果はわかりません。どうなるかはわかりませんが、この歩みを少しでもみなさんに見ていただいて、考えるきっかけ、これからの法改正であったり、どんな支援が必要なのかというところにたどり着く鍵になれば、という思いで今日まで準備してきました」
集会には、伊藤さんの支援者が大勢集まった。支援者からは「応援している人はどんなメッセージを伝えたらいいか」という質問もあがり、伊藤さんは「ポジティブな声をあげてほしい」と語った。
「マイナスな言葉を見つけたら、どんどんポジティブな言葉で埋められるように...。私も、すごく応援していただいてることをここで知ることができました。ネット上で書かれていることを見ると、そこに埋もれている、思っている人の声が私には届かなかったんですね。そういうことを考えると、性暴力の被害を受けた方々に対して世間があたたかい温度にできるように、ポジティブな言葉だったり、『あなただけじゃない』というメッセージをどんどん発信していただけたら、と思います」