「家入一真さんごめんなさい丸パクリします宣言」の2回目です。
前回では、現職政治家は真剣に取り組もうとすればするほど「プロの視点」にフォーカスしてしまい、それで時間を使い果たしてしまう、ということを書きました。
それも非常に重要ですが、もっと政治参加を進めるためには、敢えて小難しいことを言わずに「とりあえず言ってみればいいじゃん」と思える仕組みづくり・雰囲気づくりをやっていく必要がある、と家入一真さんに気づかされたわけです。
■「配分」「採用基準」「落とし込み」に懸念
前回の、従来の制作プロセスと「ぼくらの政策」の比較表をもう一度見てみます。
まとめられた「ぼくらの政策」はこちらになります。
「ぼくらの政策」の起点は、Twitterにハッシュタグ付きで書き込まれる「生の声」以外にありません。
新人であっても、統計データを取り寄せたり自分なりの問題意識で公約を作ることは可能ですが、家入一真さんはそれをやりませんでした。
狙ってかどうかはわかりませんが、おかげで「ぼくらの声が政策になるんだ!」というわかりやすい側面が強調されることになりました。
プロセスも、Twitterに投稿された一文からダイレクトに政策を起こすという、シンプルなものです。
「どの職場も肩身狭くなく定時に帰れるように」というたったこれだけの文から、「ワークライフバランスが取れる東京を目指し、まずは都職員から定時退社や在宅勤務(テレワーク)を推奨していきます」という公約を提示しています。
わかりやすくシンプルであることで30,000件という投稿の獲得に至ったわけですが、「民意を政策に反映する」という意味では、このやり方にはいくつか問題点があります。
パッと見て3つほど考えられます。
「配分」「採用基準」「落とし込み」です。
まず「配分」。
限られた予算をどう配分するかは重要であり、公約の中のどのジャンルにどれくらいのウェイトが置かれているか、そこまで含めて「公約」であると考えるべきだと思いますが、「ぼくらの政策」はこの点がよくわかりません。
例えば「教育」分野は、120項目中7個です。
本当にそれでいいのか? それは住民の望む配分と同期しているのか? という問いに対する答えがない状態です。
次に「採用基準」。
なぜそのツイートが採用されたのか? 採用基準がよくわかりません。
例えば「カジノをつくろう!」というツイートに対して、あっさり「カジノを含むIR(統合リゾート施設)の臨海副都心への構築を検討します」と公約化してしまっていますが、これに反対の意見があるということは検討に入らないのでしょうか。
私の場合、カジノ建設には消極的ですので、私ならおそらくこのツイートの意見は採用しないと思います。
逆に言えば、そこが候補者の差別化ポイントであり、何を採用するかを見て有権者が候補者を選択する、という考え方もあります。
また「言ったもん勝ち」になってしまってもよくないと思いますので、いったん掲げられた政策に対しても意見が言えてしかるべきではないかと思います。
最後に「落とし込み」。
例えば「若者だけでなく、孤立するおじいさんおばあさんの居場所(つながる場)もつくろう」というツイートを、「各地域にICT交流センター(仮称)の設立を促進します。最新のパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを完備し、ボランティア有志が高齢者の方々に使い方を教える交流施設として機能させ、高齢者のICT知識の向上と若者との結びつきをつくります」という公約に落とし込んでいます。
...んー...?
確かにそれもひとつの方法ですが、孤立する高齢者の問題に対する答えとしては、かなり「部分的」であるように思われます。
「その落とし込み方でいいのか?」という議論の余地があるわけです。
まあしかしこれもまた、「どう落とし込むか」が候補者の差別化ポイントであると考えてもよいですけれども。
■「ま、それは置いといて」...ゆるく、気軽に、誰でも参加
という問題点があることを家入陣営はある程度わかっていただろうと思うのですが、そういう小難しいことを全部うっちゃって、「とにかくハッシュタグ #ぼくらの政策 でご意見ください!」と割り切ったところが家入一真さんの優れたところです。
プロの視点は我々がバックヤードで持っていればいいのであって、みなさんの意見をお伺いするときにはなるべく「ゆるく、気軽に、誰でも」意見を言える仕組み・雰囲気を作ることこそが重要だ...と、家入さんのやり方を見て気づかされました。
よし、私も"いったん"プロの視点をうっちゃって、ゆるく、気軽にご意見を言っていただこう!
と思いましたので、誠に恐縮ですが、丸パクリをお許しください!m(_ _)m
次回は、パクリ版「ぼくらの政策」である「ぼくらの板橋」をどう運営するつもりか? という方針を書きます。
(2014年2月9日「中妻じょうたブログ」より転載)