イスラエルの『ハアレツ』紙は、経済協力開発機構(OECD)が行った最新の調査に基づき、OECDに加盟する34カ国のうちでイスラエルが最も相対的貧困率(大多数よりも貧しい「相対的貧困者」の全人口に占める比率)の高い国であると報じた。
同紙は、イスラエルの相対的貧困率が20.9%であり、34カ国で最も高いと伝えている。ジニ係数から見ても、イスラエルはOECD加盟国で最も格差が大きい国のひとつであるという(注:OECDにはブラジル、ロシア、中国、インド、台湾、シンガポール等は含まれていない)。
OECDが実施した所得格差に関する最新の調査(PDF)では、経済危機によって多くの国の収入と資本が減少したと報告されている。さらに、この3年で、過去12年間を超える格差拡大が発生しているという。
世界経済危機に陥った国の多くが、OECDの調査が開始されて以来最高レベルの所得格差に直面している。失業の増加と資本利益率の減少は、労働や資本からの収入に影響を与えるだけでなく、その分配にも不平等を生み出している。
OECD調査によると、イスラエルよりも所得格差(ジニ係数)が大きいのはチリ、メキシコ、トルコ、米国だ。北欧と西欧諸国は格差が最も小さい。[日本のジニ係数はトップから10番目の大きさ。相対的貧困率は上から6番目]
この調査結果が発表される数日前には、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相による税金の浪費が問題になった。5月13日付けでAP通信が報道した内容によれば、ネタニヤフ首相の経費は2009年の就任以来、80%近く増加したという。最近、サッチャー元英首相の葬儀に参加するためにロンドンを訪れた際には、12万7000ドルの公的資金を費やして飛行機内にベッドを設置したと報じられている。
一連の厳格な緊縮政策を打ち出しているイスラエル政府に対しては、国民の怒りの声が上がっている。AP通信によると、新しい国家予算では税金が引き上げられ、家庭への補助金と医療給付が削減されるという。イスラエルのNational Insurance Institute(国民保険機関)の理事を務めるシュロモ・モールヨセフ教授は、「給付金の削減により、貧困に陥る家庭がさらに増える」とハアレツ紙にコメントしている。
モールヨセフ教授は、「児童手当の削減計画は、貧困ライン(生活に必要な最低限の収入水準)以下の家庭を増やすことになる。現在の貧困ラインは夫婦合わせて月に4000イスラエルシェケル(約11万2000円)だが、これを下回る家庭の児童が、現在と比べて3万人から4万人増加するだろう」と述べている。
以下のギャラリーでは、所得格差の大きいOECD加盟国で撮影された写真を紹介する。[東京のビジネス街で撮影された画像もある]
[Eline Gordts 日本語版:兵藤説子、合原弘子/ガリレオ]